都議会で2月24、25両日に行われた一般質問では、2日間で24人が質問しました。日本共産党のアオヤギ有希子都議(八王子市選出)は初めての本会議質問(2月24日)に立ち、八王子市内の小児・周産期医療の拡充を求めました。

八王子市では2010年、石原慎太郎都政時代の都立病院半減計画で市内で唯一、新生児集中治療室(NICU)を備えた八王子小児病院が、清瀬(清瀬市)、梅ヶ丘(世田谷区)両小児病院とともに都立小児総合医療センター(府中市)に統廃合されて以来、市内にはNICUがなくなりました。現在、同センターのNICUへの入院実績は、地元府中市につぎ八王子市が2位です。
アオヤギ都議は「多くの八王子市民からNICUの復活を願う声が寄せられている」と強調。市内の中核病院である東海大学八王子病院と東京医科大学八王子医療センターがNICUを整備する際、「八王子市と都は必要な支援を行う」と、共産党の質問に都が答弁していたことをあげ、同市と2病院が始めている協議に都が加わるよう求めました。
また1歳4カ月の子どもが心肺停止となり、市内の病院で専門的治療ができずに小児総合医療センターに救急搬送されたものの重度の障害が残った事例を示し、小児救急への支援を求めました。
小池知事は「限られた医療資源を最大限活用し、周産期医療体制の充実強化に努めていく」と答弁。中村倫治福祉保健局長は、2つの中核病院がNICUを整備する際は市と都は必要な支援を検討していくこととしていると認めました。
院内分教室に高等部つくって
アオヤギ都議はまた、小児総合医療センター内にある、武蔵台特別支援学校の府中分教室に高等部の設置を求めました。
アオヤギ都議は、国立がんセンターの「いるか分教室」高等部で学んだ骨肉腫と診断された青年が、「分教室があることで笑うことができた。人間らしさを取り戻すことができた」という生前残した言葉を紹介。「学びが生きるエネルギーになる。それが病院内の分教室です。分教室に小中学部だけでなく、高等部があることは大きな意義がある」と強調しました。
その上で「小児がんの拠点でもあり、高校生の年齢の方も入院している。病院の医師からも高等部を求める声がある」として、「府中分教室に高等部をつくるためにまず(教育委員会と病院が)協議をしてほしい」と要望しました。
藤田裕司教育長は「都立小児総合医療センターと連携しながら、分教室の運営や訪問による教育を適切に行っていく」と答弁しました。
残土持ち込み規制の条例提起
八王子市北西部は採石場などの開発が進み、残っている里山の美しい風景も土地区画整理事業などで壊されています。アオヤギ都議は今も残る貴重な自然が壊されている現状について、知事の認識を問いました。小池知事は「自然の保護と開発の両立を図るため、自然保護条例に基づく開発許可制度により、一定規模以上の開発行為に対して、あらかじめ許可を受けることを求めてきた」「東京に残された貴重な自然を保全していく」と答弁しました。
一方、八王子市には都の自然保護条例に基づく審議対象となる大規模な土地改変の届け出が複数出されています。昨年7月に起きた熱海市の違法残土による盛土が大量に崩れて、多くの人命が失われた事故を受けて、国は盛土による災害防止に向けた総点検を都道府県に指示。都は昨年12月時点で点検が済んだ1478カ所中、16カ所で是正措置が必要だと発表。ほとんどが多摩地域とされますが、具体的な場所は公表していません。
アオヤギ都議は「是正措置が必要な箇所を住民に公表し、直ちに安全確保すべきだ」と要求。中島高志建設局長は是正措置が必要な16カ所について「各法律や条例に基づき、すでに是正指示を行うなど適切に対応している」としました。
アオヤギ都議は大量の残土持ち込みを直接規制し、残土を発生させる側の責任も明確化させる規制条例を制定すべきだとして、都独自の条例制定を提案。上野雄一技監は「国の動向を見ながら、必要に応じ、適切に対応していく」と答えました。
(東京民報2022年3月6日号より)
〈WEB版追記〉アオヤギ都議の質問全文は共産党都議団のホームページに