政治家関与を追及
原田あきら都議は、予算特別委員会で、樹齢100年を含む1000本の樹木を伐採し、高さ185㍍と190㍍の超高層ビル2棟、商業施設、ホテルなどを建設する神宮外苑の再開発計画(新宿、渋谷、港区)について、都民から見えない政治家の関与も指摘し、「都政の民主主義、地方自治のあり方が根幹から問われる大問題だ」と、追及しました。
この問題を巡っては、世界遺産の保護・保存に取り組む日本イコモス国内委員会が計画見直しを求める意見書を知事・都議会議長に提出する中、東京都都市計画審議会は計画を承認(2月9日)。しかし、その後も6万人に上る同趣旨の署名が都に提出されています。
原田都議は「こうした反対や疑問の声、6万人に及ぶ署名の重さを、どう受け止めているのか」と質問。小池知事は樹木を「極力保存または移植し、事業を進めることとしている」「今回の計画により次世代につなげていくことは、創建の趣旨にかなったものだ」とのべ、計画を見直す考えはないとしました。
デッキ通路、階段も緑地に
原田都議は石川幹子中央大学教授の調査をもとに作成した、樹木が実際に伐採される地図を提示。神宮外苑のシンボル的存在のイチョウ並木の一部も含め、1904本のうち1000本以上が伐採・移植されるとして、「森は重大な規模で痩せ衰えることになる」と指摘。上野雄一技監は、「従来より緑の量を増加させる」と強弁しました。
原田都議は「緑地」を増やすというが、その中に、建物脇や屋上の小さな植栽だけでなく、デッキ通路、エレベーターや階段も含めていると追及。上野技監は、これを認めました。
年間4万7千トンのCO2
原田都議は今回の開発で年間4万7000㌧ものCO2(二酸化炭素)が発生し、これを森林で吸収するには新宿区3つ分の面積の杉林が必要になると指摘。小池知事の考えをただしましたが答えず、上野技監が「(事業者が)将来の技術革新の動向も見据え、新たな省エネ技術、再生可能エネルギーを積極的に活用するなど、CO2の排出削減を図っていく」と弁明。
原田都議は「脱炭素化」や「東京の緑を守る」と表明した小池知事の施政方針に、「真っ向から反する」と批判しました。
同再開発では、老朽化を理由に秩父宮ラグビー場(港区)と神宮球場(新宿区)を建て替える計画ですが、その際、両施設の土地を交換します。神宮球場は地下鉄・外苑前駅(港区)に近づき、商業的に有利になると見られ、事業者の三井不動産が185㍍の超高層ビルを建設します。190㍍ビル建設の事業者は伊藤忠です。ここは本来、容積率の制限で100㍍を少し超えるぐらいのビルしかたたない場所です。
原田都議は容積率の不足を解消するために、都市計画公園である明治公園の敷地から、公園の区域外に容積率を配分するという、過去に例を見ない対応をとったと追及。都にそのことを認めさせました。
その上で、「都市計画公園という都民の共有の財産から容積率を移転するというやり方を、神宮外苑再開発で利益を得る人たちのために初めて適用した。開発事業者や土地所有者に至れり尽くせりの計画だ」とのべました。