
曽根都議は、住民の反対が強い特定整備路線(都市計画道路)の建設について、「防災に名を借りた街壊しの道路計画は抜本的に見直すべきだ」と迫りました(9日)。
特定整備路線は、東日本大震災の翌2012年に都市計画決定がされ、大型道路計画のうち28区間を「木造密集地域不燃化10年プロジェクト」事業として都が決定。震災時に燃えない、燃え広がらない街づくりのための「延焼遮断帯」の形成が目的としています。
曽根都議は「知事の『都民ファースト』の立ち場に照らして、住民の反対の強い特定整備路線は、住民への説明をつくし、住民合意をつくりながら、丁寧に進める必要がある」とのべ、知事の認識を問いました。
小池知事は「都民の命と財産を守る極めて重要な都市基盤」「関係権利者に丁寧に説明し、理解と協力を得ながら整備を推進していく」と答弁。
曽根都議は「肝心の住民合意をつくることには触れなかった」とし、「これでは何も解決しない」と指摘。「道路事業は何と言っても地元住民の合意と納得が大切」なのに、「都は逆に東日本大震災を契機に防災を錦の御旗にして、住民に十分な周知も合意もなく事業化を進め、各地で大きな混乱と怒りを招いている」と強調しました。
乏しい科学的根拠

曽根都議は、都が特定整備路線の延焼遮断効果を推定する際、延焼シミュレーションに防災専門家のアドバイスを受けずに実施したことや、正確な延焼シミュレーションに不可欠の「飛び火」も考慮しなかったと告発。「科学的根拠の極めて乏しい『延焼遮断効果』なるものを盾にして、特定整備路線を強引に進めることは許されない」と主張。
また都への情報開示請求で明らかにした北区赤羽地域の補助86号線の見取り図を示し、「城壁のような段差を設けて大型道路をつくることになる。生活道路は急勾配の坂道となり、車椅子で登るのは難しくなる」と指摘。「知事のいう『段差の解消』『段差のない社会』と正反対ではないか」と、知事をただしました。
小池知事は答弁に立たず、中島高志建設局長が「できるだけ影響が少ないように、工夫を行っているところ」と弁明。
曽根都議は「(段差ができることは)住民に説明されず、工夫もされていない」と批判。「商売をダメにする道路には生涯をかけて反対していく」との住民の声を紹介し、「知事は現地に足を運び、住民の声に直接、真摯に耳を傾けるべきだ」と強調しました。
その上で「住宅の耐震化や燃えにくい外壁や屋根への改修、避難路の確保や初期消火設備の増設、通電火災を防ぐ感震ブレーカーの普及促進など、住民主体の燃えにくい防災街づくりにこそ、力を尽くすべきだ」と訴えました。
〈東京民報2022年3月20日号より〉