平和守るたたかい現代に 伊藤千代子描く映画 完成披露の試写会

 戦前の日本共産党員で、治安維持法の下で弾圧され24歳で亡くなった伊藤千代子(ことば)の人生を描く映画「わが青春つきるとも―伊藤千代子の生涯」が完成し、披露の試写会が2日、中央区で開かれました。出演者が舞台あいさつし、ロシアのウクライナ侵略に触れながら、「平和を求めた千代子たちの思いを多くの人に知ってほしい」と語りました。

舞台あいさつする(左から)、桂、井上、窪塚の各氏ら=2日、中央区

 監督の桂壮三郎さんはあいさつで、「戦前の天皇制の時代に、社会を変えようと志を持った、伊藤千代子と仲間たちの果敢なたたかいを知ってもらいたい」と述べるとともに、「あの時代、日本は中国や朝鮮を侵略していた。いま私たちは、現実にロシアのウクライナ侵略を目の当たりにしている。監督として、ロシアが一刻も早くウクライナから撤退するよう呼びかける」と強調しました。

 主演の井上百合子さんは、この作品が映画デビュー。「全国にいる一人ひとりの支援者の方と、たくさんのキャストやスタッフの力が集まってつくられた映画です。多くの人たちのおかげで、私も役を務めることができました」と語りました。

 出演者からも、ロシアのウクライナ侵略と、千代子の時代を重ねた言葉が続きました。

 夫を演じた窪塚俊介さんは「当時の治安維持法のような法律が、ロシアでもすでに施行され、民衆を弾圧している。この映画の登場人物たちのように、自分なりの思想を持って行動に移すことが、本当に大切な時代だと再確認した」と語りました。

*ことば*
伊藤千代子:1905~1929年。長野県諏訪郡生まれ。東京女子大で社会科学研究会に入り、長野県の製糸工場での大争議の支援などに取り組むなかで、22歳で日本共産党に入党。その半月後に、共産党への大規模弾圧「3・15事件」で逮捕されました。獄中で共産党員の夫の政府への屈服を知るものの同調を拒否。精神と肉体を病み、病院に収容されて24歳で亡くなりました。諏訪高等女学校時代の恩師で、アララギ派の歌人だった土屋文明は1935年、「こころざしつつたふれしをとめよ 新しき光の中におきて思はむ」と詠み、千代子を悼みました。

関連記事

最近の記事

  1.  待機児童、介護離職、残業、都道電柱、満員電車、多摩格差、ペット殺処分。こう聞いて、すぐに共通点が…
  2.  「裏金事件」で自民党への批判と怒りが大きく広がるなか、公職選挙法違反事件で有罪が確定した柿沢未途…
  3. 球場とラグビー場の再生案を発表した会=10日、豊島区  神宮球場と秩父宮ラグビー場を取り壊し…
  4.  今年1月に起きた日本航空機と海上保安庁機の衝突事故をうけて11日、日本航空被解雇者労働組合(JH…
  5. 市議会本会議で初質問に立つ荒木市議  市議になる前は、33年間、都内の私立校で数学教員をして…

インスタグラム開設しました!

 

東京民報のインスタグラムを開設しました。
ぜひ、フォローをお願いします!

@tokyominpo

Instagram

#東京民報 12月10日号4面は「東京で楽しむ星の話」。今年の #ふたご座流星群 は、8年に一度の好条件といいます。
#横田基地 に所属する特殊作戦機CV22オスプレイが11月29日午後、鹿児島県の屋久島沖で墜落しました。#オスプレイ が死亡を伴う事故を起こしたのは、日本国内では初めて。住民団体からは「私たちの頭上を飛ぶなど、とんでもない」との声が上がっています。
老舗パチンコメーカーの株式会社西陣が、従業員が救済を申し立てた東京都労働委員会(#都労委)の審問期日の12月20日に依願退職に応じない者を解雇するとの通知を送付しました。労働組合は「寒空の中、放り出すのか」として不当解雇撤回の救済を申し立てました。
「汚染が #横田基地 から流出したことは明らかだ」―都議会公営企業会計決算委で、#斉藤まりこ 都議(#日本共産党)は、都の研究所の過去の調査などをもとに、横田基地が #PFAS の主要な汚染源だと明らかにし、都に立ち入り調査を求めました。【12月3日号掲載】
東京都教育委員会が #立川高校 の夜間定時制の生徒募集を2025年度に停止する方針を打ち出したことを受けて、「#立川高校定時制の廃校に反対する会」「立川高等学校芙蓉会」(定時制同窓会)などは11月24日、JR立川駅前(立川市)で、方針撤回を求める宣伝を21人が参加して行いました。
「(知事選を前に)税金を原資に、町会・自治会を使って知事の宣伝をしているのは明らかだ」―13日の決算特別委員会で、#日本共産党 の #原田あきら 都議は、#小池百合子 知事の顔写真と名前、メッセージを掲載した都の防災啓発チラシについて追及しました。
ページ上部へ戻る