【アーカイブ連載】横田基地の今④ 特殊作戦部隊の闇 〈2021年6月13日号より〉
- 2022/4/23
- オピニオン連載
米国は2009年からのオバマ政権時代に軍事予算を削減し、軍隊の人員も削減しました。ただ、削減せず増員した部隊がありました。それが特殊作戦部隊です。
特殊作戦部隊は、陸軍、海軍、空軍、海兵隊と4軍にそれぞれ作られています。横田基地には18年に空軍の特殊作戦部隊のCV22オスプレイが前倒しで持ち込まれ、銃口を突き出したまま住宅地上空で訓練を開始しました。あたかも地上から狙うテロ組織との戦いを想定しているかのように。
オバマ政権は、なぜ特殊作戦部隊を増員したのでしょう。それは、「テロとの戦い」が米国にとって最重要な戦略になっていたからです。9・11同時多発テロ以降、アフガンを実効支配しているタリバンが、イスラム原理主義のテロ組織アルカイダをかくまっているとしてアフガニスタンへ軍事介入し、長期にわたるアフガン戦争がはじまりました。一度はタリバンを追い詰めましたが、たたかいは泥沼化し、米軍は多大な犠牲を払いながら成果は一向に上がりませんでした。
そうした時、表舞台には出てこない裏の戦争屋である、特殊作戦部隊が暗躍することとなってきました。特にオスプレイを操る海兵隊と空軍の特殊作戦部隊が、砂漠地帯・山岳地帯で暗躍してきました。10年前、オバマ大統領はアルカイダの指導者ビンラディンとその一家が隠れ住んでいたパキスタンのアジトを、特殊作戦部隊を投入して一家もろとも爆殺し、同時多発テロ事件に区切りをつけました。
いま米軍は、世界に張り巡らせた大小の基地網と、リリーパッドと呼ばれる小さな軍事施設を使って、特殊作戦部隊が暗殺・誘拐・スパイ行為などを秘密裏に敢行し、都合の悪い政権を転覆したり、クーデターを仕組ませるなどで、その覇権を維持しています。
昨年6月、横田基地で、陸・海・空・海兵4軍の特殊作戦部隊がそろって大規模な合同訓練を行いました。こうした訓練は、何を目的に行われたのでしょうか。はっきりしていることは、恐ろしい目的を達成するための危険な訓練であることです。
米中の軍事的緊張が高まる中、日本でこのような訓練が公然となされていることは、周辺諸国への脅威であることは明らかで、逆に横田基地が標的になる危険性も大きいのです。
特殊作戦機オスプレイが危険なのは欠陥機だからだけではないのです。いよいよアメリカ言いなりの同盟関係を続けていてはいけない時、政治を大きく変える時を迎えたのではないでしょうか。
(横田基地の撤去を求める西多摩の会事務局長 寉田一忠=終わり)
(東京民報2021年6月13日号より)