都が防災などを口実に強引に進める都市計画道路・特定整備路線とそれに関係する再開発をめぐる行政訴訟で、判決や控訴審開始などが17~20日に相次ぎました。都の主張をうのみにするような判断に、住民は司法の役割を果たしてほしいと訴えます。
北・十条「恣意的分筆」認める
JR埼京線十条駅西口(北区)の市街地再開発事業に反対する住民らが、事業に係る組合設立認可処分の取り消しを東京都に求める行政訴訟で、東京地裁(市原義孝裁判長)は17日、原告の請求を退ける判決を下しました。
十条駅西口は2012年、高さ約146㍍、地上39階建ての大規模な超高層ビルの建築とともに、特定整備路線補助73号線の一部新設整備を含む都市計画が決定。2007年に準備組合が設立されたものの、組合設立要件である3分の2以上の地権者の同意が長らく得られず、2016年11月にようやく申請要件を充足。翌12月に組合設立認可申請書を提出しました。
最大の争点は、3分の2の同意の有無。共有名義の土地(1筆)が同意直前に5分割されており、裁判所は「恣意的な分筆」と判断しました。最終的には僅差で3分の2の同意が認められてしまったものの、報告会で弁護団の木本茂樹弁護士は「こちらの主張が認められた、数少ない点」と指摘。後日、原告のひとり、伊藤勝氏は「他の再開発でも同意者の水増し事例がある。裁判所の判断は一石を投じるものになった」と語りました。