杉並区長選(19日投票)が20日開票され、無所属新人の公共政策研究者で「住民思いの杉並区長をつくる会」の岸本さとこ氏(47)=立民、共産、れいわ、社民、生活者ネット、緑の党、新社会党推薦=が、7万6743票(得票率44.41%)を獲得し、4選を目指した無所属現職の田中良氏(61)=自民、公明推薦=ら2人を破り、初当選しました。参院選(22日公示、7月10日投票)を目前に、「市民と野党の共闘」の力を示した杉並区長選の勝利は、一首長選にとどまらない意義があります。

岸本氏は田中区政が進める街壊しの大型道路の建設計画の見直しとともに、児童館や高齢者施設の廃止計画に対し「区民の公共財として守り発展させたい」として、見直しを訴え、共感と支持を広げました。一方、現職の田中氏は新型コロナ感染拡大による緊急事態宣言下の昨年7月、公費を使って群馬県のゴルフ場に出張していた問題が、区民の大きな批判を招いていました。
岸本氏は東京23区では、新宿区の中山弘子元区長、足立区の近藤弥生区長(4期目)に次ぐ3人目の女性区長となります。
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「私たちお母さんが主役になれる街づくりのために、私も頑張ります」。岸本候補の当選を決めた20日夕、「住民思いの杉並区長をつくる会」がJR阿佐ヶ谷駅前で開いた報告会には大勢の人が駆けつけ、新区長とともに新しい街づくりへの思いを熱く語る姿がありました。
初めて政治に関わったという人もマイクを手にし、「応援した人の当選で泣いたのも、選挙で心が躍ったのも初めてです」と声を弾ませました。
区民の発言を受けて岸本氏は「貧困はもう日常です。区民の命と生活を守ることは党派の違いを超えた共通の目標、そのためにお金(税金)を使いたい」と力説。家賃補助や学校給食の無償化、再開発道路の見直し、防災対策、情報公開の推進など、「安心して住める杉並区」に向けた政策実現への意欲を表明しました。
その上で、「みんなに広くお金が回る地域経済にしたい。女性が安心して無理なく働ける社会にしたい。難しい課題へのチャレンジです。一緒にやっていきましょう」と力強く呼びかけ、参加者から共感の大きな拍手と声援が響きました。
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当 | 岸本 さとこ | 47 | 無新 | 76743 |
田中 良 | 61 | 無現 | 76556 | |
田中裕太郎 | 46 | 無新 | 19487 |
杉並区議補選 増田氏が肉薄
区長選と同時に行われた区議補選(改選数1)で、日本共産党の増田さちえ候補は2位だったものの、2万5181票(得票率14.87%)を獲得し、当選した自民党候補2万6879票(同15.88%)に肉薄しました。

〈東京民報6月26日号より〉