「稲盛和夫会長(当時)は『改革が安全対策だ』と言い効率化を最優先したが、私は『安全対策こそが改革だ』と声を大にして言います」―他社でも旅客機の機長を務めたベテランパイロットの迫真のスピーチに足を止めて聞き入る人がいました。6月21日、日本航空解雇者労働組合(JHU)などはJALの株主総会を前に宣伝行動を実施。同組合員の他、支援者ら70人超が参加して12年目になる争議の全面解決を呼びかけました。
本争議は2010年に政府主導で破綻したJALの再建が進められる中、年齢や病休で一律にパイロットと客室乗務員165人を同年大晦日に解雇したものです。希望退職で人員削減目標を大幅に超過達成していたにもかかわらず強行し、人員が不足し運行に支障をきたしかねない事態に陥りました。
そのため、解雇された人員を優先的に採用するという国際労働基準を無視して大量に新規採用を行う一方で、被解雇者を元の仕事に戻したケースはほぼないという異常事態が続いています。
この日、マイクを握ったJHUの山﨑秀樹書記長は「知床観光船の事故のニュースを聞いて、安全をないがしろにした結果だと心が痛んだ。公共交通機関にとって安全は命綱。経験を積み、安全のためにモノを言う人間の解雇は異常だ。職場に戻すべきだ」と、早期解決への力添えを株主に訴えました。