狛江市役所 館長交代で最低評価に 公民館元職員 高裁でパワハラ認定を〈2022年7月10日号〉

支援する会の署名を高裁に提出した岩崎さん(中央)と支援者=6月29日、千代田区

 「公民館の岩崎さん」として地域住民に親しまれていた岩崎安男さんは1977年の採用以来、40年にわたり狛江市で社会教育主事(専門職)として公民館に勤務してきました。子どもから高齢者まで一緒につくる公民館のために尽力。定年後も再任用制度(ことば)で勤務していましたが、館長の交代以降、パワハラを受けた上、人事評価を最低にされ雇止めになりました。岩崎さんは2018年、市に損害賠償を求めて東京地裁に提訴しましたが敗訴。現在は東京高裁での控訴審判決を目前に控えています。

 岩崎さんは保育を導入した女性セミナーや市民ゼミナールなどの企画を実施。携わった自主グループは40以上で、狛江市の社会教育を下支えしてきました。

 厚生労働省の公民館パンフレットは、その役割を社会教育の拠点として「『つどう』『まなぶ』『むすぶ』ことを促し、人づくり・地域づくりに貢献しています」と記しています。岩崎さんは、この理想を目指して先頭に立ってきました。

 2014年3月の定年退職後、再任用契約に移行。毎年1月末日に契約を更新してきましたが、突然2018年に市は「人事評価D(最低)」を理由に更新を拒否し、雇止めとなったのです。

 同年3月に行われた狛江市中央公民館・図書館40周年記念講演会では、館長は岩崎さんを前日に排除。「どうして、岩崎さんがいないの」との声が行き交ったといいます。公民館活動から生まれた地域ミュージシャンが、「岩崎さんとともに喜び合いたい」という思いを語っていました。

個室で怒鳴り続け

 それまで岩崎さんの人事評価は主に「B」でした。「仕事は支障なく行っている。住民から信頼が寄せられている」(14年度)、「人が嫌がる仕事、急な仕事も進んでこなす」(15年度)、「専門的な知識を活用し、誠実に取り組んでいる」(16年度)-と高評価でした。

 しかし、17年度に館長が変わったとたん評価が「長年にわたる公民館のみの勤務経験に基づく旧態依然きゅうたいいぜんの印象」と記され「D」に変わりました。これは前任者の申し送りに基づく評価を行うという市の規則を無視し、恣意的に評価を下げられたと言わざるを得ないものです。さらに▽公民館のカギの紛失▽作業着の着用-などが記載されていました。しかし、カギの紛失は始末書と口頭注意により前任者の下で処分が終わっていたもの。作業着の着用はトイレの故障など頻発する営繕業務の対応のためで、注意後は業務服を着用しています。「市民の信頼を失墜させる行為ではない」と関係者は訴えます。

 さらに雇止めを目前に控えた18年3月には岩崎さんが書類を紛失したミスに対し、館長は個室で怒鳴り続けるなどの叱責を繰り返しました。「お前の顔つきからして責任を感じているのか」や、「やる気あるのか」などの人権を侵害する言葉も発せられたと言います。

関連記事

最近の記事

  1. 「フランチャイズで働く私たちにも人権がある」と訴える学研教室の先生と弁護団ら=11日、千代田区 …
  2. 署名を提出する会のメンバー=15日、狛江市  こまえ図書館住民投票の会は15日、松原俊雄市長…
  3.  国土交通省は、日本共産党の宮本徹衆院議員の質問主意書への答弁書(5日の閣議決定)で、羽田空港での…
  4.  超党派議員の国会議員でつくる「羽田低空飛行見直しのための議員連盟」は11日、国土交通省から先月に…
  5.  日本共産党都議団は12日、米軍横田基地に核搭載可能な米空軍のB52H戦略爆撃機が飛来したことに対…

インスタグラム開設しました!

 

東京民報のインスタグラムを開設しました。
ぜひ、フォローをお願いします!

@tokyominpo

Instagram

#東京民報 12月10日号4面は「東京で楽しむ星の話」。今年の #ふたご座流星群 は、8年に一度の好条件といいます。
#横田基地 に所属する特殊作戦機CV22オスプレイが11月29日午後、鹿児島県の屋久島沖で墜落しました。#オスプレイ が死亡を伴う事故を起こしたのは、日本国内では初めて。住民団体からは「私たちの頭上を飛ぶなど、とんでもない」との声が上がっています。
老舗パチンコメーカーの株式会社西陣が、従業員が救済を申し立てた東京都労働委員会(#都労委)の審問期日の12月20日に依願退職に応じない者を解雇するとの通知を送付しました。労働組合は「寒空の中、放り出すのか」として不当解雇撤回の救済を申し立てました。
「汚染が #横田基地 から流出したことは明らかだ」―都議会公営企業会計決算委で、#斉藤まりこ 都議(#日本共産党)は、都の研究所の過去の調査などをもとに、横田基地が #PFAS の主要な汚染源だと明らかにし、都に立ち入り調査を求めました。【12月3日号掲載】
東京都教育委員会が #立川高校 の夜間定時制の生徒募集を2025年度に停止する方針を打ち出したことを受けて、「#立川高校定時制の廃校に反対する会」「立川高等学校芙蓉会」(定時制同窓会)などは11月24日、JR立川駅前(立川市)で、方針撤回を求める宣伝を21人が参加して行いました。
「(知事選を前に)税金を原資に、町会・自治会を使って知事の宣伝をしているのは明らかだ」―13日の決算特別委員会で、#日本共産党 の #原田あきら 都議は、#小池百合子 知事の顔写真と名前、メッセージを掲載した都の防災啓発チラシについて追及しました。
ページ上部へ戻る