日本映画業界のジェンダーギャップや労働環境、若手人材不足を検証し、課題解決のために調査と提言をする、一般社団法人Japanese Film Project(JFP)が5日、「2022年夏 映画界のジェンダーギャップ&労働環境の調査報告」を記者会見で発表しました。

JFPは昨年7月に設立。昨今、日本の映画業界で問題視されているハラスメントや低賃金、長時間労働など、さまざまな課題を解決に導く統括的な調査機関が存在しないことから、当初は任意団体として活動をスタートさせました。
会見は、JFP代表理事を務める映像作家でアーティストの歌川達人氏と、同理事で元助監督の近藤香南子氏が登壇。「日本映画業界の制作現場におけるジェンダー調査」について、昨年公開された興行収入10億円以上の日本実写映画は、16作品中、女性監督は0人と報告しました。
一般社団法人日本映画製作者連盟を構成する大手4社(松竹、東宝、東映、KADOKAWA)の製作・配給ラインナップによると、22年は42作品中(※実写対象)、女性監督は、4人(9.5%)。19~22年の4年間では、男性監督172人に対し、女性監督は9人にとどまる現状が明らかになりました。21年公開作品における各部門の女性比率は、撮影9%、照明3%、録音7%、編集18%など低く、過去3年間、ほぼ横ばいで推移しています。
歌川氏は、「映画業界のジェンダーギャップは、変化が見られない」と強調。「積極的に手を加えない限り、改善されないことがデータから読み取れる。要は黙っていたら変わらない」と語りました。近藤氏は「衣装、メーク、美術、装飾など、一部の役職は映画年鑑などに名前が記載されない」と指摘。「改善する課題を見つけるための、そもそものソースやデータさえない」と懸念しました。