【書評】子どもに〝しつけ〟は必要ない 『校則なくした中学校 たったひとつの校長ルール 定期テストも制服も、いじめも不登校もない! 笑顔あふれる学び舎はこうしてつくられた』 西郷孝彦 著

 「思い切り甘やかしてください。子育てに〝しつけ〟は必要ありません。夢のような環境でほうっておけば、自然に学ぶ力が備わっている子どもは、自らの力で学びます」

 本の扉にある言葉にまず驚きました。教育とは導くもの、と思いこんでいましたから。

 世田谷区立桜丘中学校で10年間校長であった著者は、定期テストはない、制服もない、宿題もない、スマホ、茶髪OKという信じられないような中学校をつくり上げました。その思いはただ一つ「子どもたちが幸せな3年間を送ること」それだけです。 

小学館 2019年 1540円(税込)
さいごう・たかひこ 1954年、横浜生まれ。都内で数学と理科の教員、教頭をつとめ、2010年に世田谷区立桜丘中学校に就任

 第1章では、規制のない自由でのびのびした生徒たちの日々が紹介され、第2章では、自由な学校に変わっていく軌跡が語られます。

 怒声の飛ぶ朝礼はどう変わったか、子どもは管理するものなのか、靴下の色はなぜ白なのかなど、校則で決まっているからではなく、まずなぜかと問うところから始め徹底的に議論します。およそ6年後にはほぼ校則がなくなりました。

 第3章では、子育ては15歳までとする著者の教育への思いが語られます。こんな自由な取り組みを可能にした校長先生とはどんな人だったのか。理系の大学を出た著者はオイルショック後の工学系の就職難の折、「教員には夏休みがある!」という「単純な」理由で先生に。最初に配属されたのが養護学校、いまの特別支援学校でした。ここで「教育とは何か」を実践的に学び、シュタイナー教育が大きなよりどころになりました。「私たち親の役目は安心できる環境を与えてあげることだけです」と。

 第4章ではこれからの子どもたちの育て方、として桜丘中学校のユニークな実践活動が紹介されます。校長室まえの廊下は教室に入れない生徒たちの居場所、マージャン大会、オールイングリッシュ料理教室、地域も取り込んだ桜フェステイバルという文化祭などなど。

 真面目で成績の良い女子と同じクラスにするという条件で男子の問題児全員を引き受けたところ、女子たちの援助で全員自力で高校に進学した、というエピソードも。大きな希望をもらえた一冊です。(なかしまのぶこ・元図書館員)

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