延焼防止 市街地不燃化こそ効果 北区志茂補助86号線 控訴審で証人尋問 〈2022年8月7日・14日合併号〉

▲音声読み上げ

 北区志茂1丁目の住民ら原告96人が国と東京都を相手取り、特定整備路線・補助86号線事業の認可取り消しを求める控訴審の第10回口頭弁論が7月25日、東京高裁(相澤哲裁判長)で開かれ、原告側が申請した証人の尋問が行われました。

閉廷後に行われた報告集会。中央が岩見良太郎氏=7月25日、北区

 補助86号線は板橋区東新町1丁目から北区志茂1丁目まで、延長約5・9㌔の都市計画道路。このうち志茂1丁目地区は住宅地に面した延長620㍍、幅員約7㍍の道路を、延焼遮断帯として20㍍に拡幅整備する計画です。

 証言台に立ったのは、都市工学の専門家で埼玉大学名誉教授の岩見良太郎氏。志茂1丁目に延焼遮断帯を整備する必要性の有無を明らかにするため、岩見氏は旧建設省が建設省総合技術開発プロジェクトの一環として作成した「都市防火対策手法の開発報告書」(1981年発行)を資料に証言。同報告書は自治体における防災まちづくりの原点をなすものであり、都も旧建設省と同じ考え方に立ち、防災都市づくり推進計画「木密地域不燃化10年プロジェクト」にも引用・参照しています。

 岩見氏は都の不燃化10年プロジェクトについて、「延焼遮断帯の整備」と「延焼遮断帯で囲まれた市街地の不燃化推進」を2本の柱として、相乗効果により不燃化を促進する構成は「正しいアプローチ」と発言。その上で、実際にはこの2本柱が別々に追及されているところに根本的な問題があると指摘しました。

 不燃領域率と火災による消失率との関係について、東京都が策定した「防災都市づくり推進計画〈整備計画〉平成8年度(1997年3月)」(出典:建設省の同報告書)にあるグラフを示し、具体的な数値で説明。不燃領域率が70%を超えると消失率はほぼ0%になることから、不燃領域率70%を大きく下回る場合において延焼遮断帯は有効であるが、70%を超えるとむしろ効果はなく、「市街地の不燃化を進めることこそ重要」と解説しました。

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