西武池袋線石神井公園駅南口西地区の再開発事業(練馬区石神井町3丁目地内)をめぐり、「計画は再開発という名の街壊し」として地権者と周辺住民11人が1日、東京都に再開発事業組合設立認可の差し止めを求める第2次訴訟を東京地裁に起こしました。
同再開発は、都市計画道路補助232号線(幅員16メートル)の建設とともに、その沿線に当たる同駅前に、高さ約100メートルの超高層ビル(地上26階、地下2階)を建てる計画です。
石神井公園駅周辺地区は、2011年に練馬区が「景観計画」を策定。翌12年には同地域の街並みを守るため、地域住民と自治体が約9年間にわたり議論を重ね、「地区計画」が決定。駅前商業地区は建物の高さの最高限度を35メートル(特例緩和限度50メートル)に抑え、同駅から石神井公園に向かい徐々に建物の高さを低くしてスカイラインを整えるという、街づくりのルールがありました。
地区計画が制定された約2年後に、同区主導で再開発準備組合が設立され、住民への十分な説明や合意がないまま19年に建物の高さ制限を100メートルに緩和(一定要件を満たせば高さ無制限に)する地区計画の変更案を開示。再開発に反対する住民の声を無視して事業計画は強硬に進められ、20年12月に都市計画が決定しました。
これを受け、周辺住民と地権者が原告になり即日提訴。地区計画変更決定の取り消しを練馬区に、市街地再開発事業認可の差し止めを東京都に求める訴訟を東京地裁に提起しました。
この第1次訴訟は、法廷で争うのは時期尚早として、東京地裁が却下判決。同事業の違法性について裁判所は判断を示さず、原告の弁護団は「訴訟のタイミングだけの問題」と指摘。今年6月に再開発組合設立認可申請が受理されたことから、都を相手取り今回の第2次訴訟に踏み切りました。