ロシアによるウクライナ侵略から8月24日で半年になりました▼国際法にも国連憲章にも違反した蛮行にもかかわらず、プーチン大統領は自身が掲げる目的の遂行まで戦争を続ける姿勢です。ロシアが制圧したウクライナのザポロジエ原発では、戦闘で設備に被害が出ていると伝えられており、世界に懸念が広がっています▼26日に閉会を迎えた核不拡散条約(NPT)再検討会議が最終文書の採択に至れなかったのも、ロシアが同原発をめぐる記述に反対を唱えたことが直接的な要因でした。会議を通じて核保有5カ国は、文書案の変更や削除の要求を繰り返し、核兵器廃絶を求める国際世論に背を向け続けました▼核保有国は、核兵器を互いに持っていれば核使用が止められるという「核抑止力」論にしがみついています。しかし、ロシア側が実際に核兵器を使う可能性に言及して、世界を脅しているなかで、「核抑止力」論は破たんに追い込まれています▼採択されなかったとはいえ、最終文書案は「核兵器の使用がもたらす壊滅的な人道的結末への深い懸念」と、全廃への「明白な約束の再確認」が盛り込まれました。核兵器廃絶への圧倒的な国際世論に、被爆国でありながら逆行し続ける日本政府の姿勢も問われています。
〈東京民報2022年9月4日号より〉