保団連 地域医療崩壊を招く マイナ保険証は拙速と会見 〈2022年10月2日号より〉

厚労省の担当者に要望書を手渡す保団連住江憲勇会長(右から2人目)と役員=9月22 日、千代田区(写真:保団連提供)

 マイナンバー(個人番号)カードの健康保険証利用の義務化と押しつけによる「地域医療の崩壊は避けなくてはならない」―現場の医師が語気を強めました。政府が2023年4月からマイナンバーカードの健康保険証利用(オンライン資格確認)の原則義務化を急速に進める中で9月22日、保険診療を行う診療所やクリニックの医師・歯科医らが加盟する全国保険医団体連合会(保団連)は現場での対応は困難を極めているとして、加藤勝信厚生労働相に「原則義務化の撤回を求める」要望書を提出し、記者会見を開きました。

 保団連は要望書の中でオンライン資格確認に対応している医療機関を医科診療で18%、歯科診療で19%弱(今年5月22日現在)と指摘し、「社会保障としての保険医療を守る立場の厚労行政が義務化を持ち込み、罰則を示唆して、医療現場に不安と混乱を持ち込むことはあってはならない」と強調しています。

 さらに問題は患者と医療機関ともに多くあり、導入は現実的ではないと指摘し、メリット、デメリットの慎重な判断が必要と述べています。

 今回の義務化は電子レセプト(医療機関が健康保険組合に請求する月ごとの診療報酬明細書を電子化して提出する)を用いている医療機関がすべて対象になるとされており、未対応の時は内容によっては保険医の資格を取り消すなどの処罰も盛り込まれています。歯科診療では約5分の1が電子レセプトに未対応だといいます。

 こうした政府のマイナンバーカード普及への前のめりの姿勢をあてにした業者から、医療機関には昼夜をわかたない勧誘があり、診療にも影響を及ぼしていると言います。専用機器や回線の導入に最低でも新たに約60万円以上の高額な費用がかかるために国から補助金が支給されますが、短期間での閉院などにより減価償却ができない場合は補助金の大半の返還が生じます。月々の費用もかさむことも業者の見積もりから明らかになっています。

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