著者が「浪曲はかつて日本中を席巻した芸能」とのべているように、落語、講談より人気のあった黄金時代がありました。
著者は、「時代が変わった」「価値観の変貌で義理・人情が受けなくなった」など世間で言われている衰退の十の原因をあげ、その一つひとつを分析、「その変化に浪曲の何が遅れてしまったのか。そのことをきちんと考えなければ、浪曲に次の新たな展開はない」と迫ります。
たしかに浪曲を取り巻く環境が大きく変貌していることが衰退の原因なのですが、それはその変化に浪曲側が対応しきれていないだけで、浪曲本来の魅力が無くなったわけではありません。
この本を読むと、浪曲の本来の魅力は何であり、対応しだいで新たな発展が築ける可能性があることを示唆してくれます。