米軍による原爆の投下直後に降った黒い雨。放射性物質を含んだ黒く汚れた雨のため多くの人が、深刻な健康被害を抱えることになった。にもかかわらず、「被爆者」と認めて救済する制度がなく、長い間放置されてきた。
本書は、40年の沈黙を破って立ち上がった被害者らの思いや表情をリアルに、経過を追って伝えていく。長い苦難を経て司法に訴えて、鮮やかに全面勝訴し、原告が「被爆者」として救済されるまでのたたかいの全容を記録したノンフィクションである。
黒い雨の健康被害は、原爆特有の放射線障害でありながら、「被爆者」と認める救済制度から70年余も閉め出されてきた。その救済制度の審査基準がようやく改定され、今年4月から戦後初めて「黒い雨被爆者」と認められるようになったのだ。