東京都が防災を口実に推し進めている都市計画道路「特定整備路線」(28路線・延べ約25キロ)に反対する住民らによって結成された特定整備路線全都連絡会は3日、7回目となる「止めろ!特定整備路線2022全都集会」を2年ぶりに文京区内で開きました。
志茂一保存会(北区)・全都連絡会共同代表の豊﨑満氏は、特定整備路線の中止を求める各地域の裁判が「佳境に差し掛かっている。情報を共有して結束を固めよう」と開会あいさつ。都市工学の専門家で埼玉大学名誉教授の岩見良太郎氏が「特定整備路線は要らない 住民が主人公のまちづくりを」と題した講演を行いました。
岩見氏は7月25日に行われた北区志茂一丁目の住民らが補助86号線事業の認可取り消しを求める控訴審第10回口頭弁論で、証人として法廷に立ち、補助86号線の不要性を証明。そのときに用意した意見書や証言をもとに、行政による政策理論と道路整備の実状との矛盾を解説しました。
東京都は、延焼遮断効果のシミュレーションを根拠に特定整備路線を推進。市街地の不燃領域率が70%に達すると、ほぼ延焼はないとされていますが、都は市街地不燃化による延焼防止効果のシミュレーションを行っていません。岩見氏は「これでは不燃化を強化すれば特定整備路線は不要という答えが引き出せない」と批判しました。
岩見氏は品川補助29号線における不合理なシミュレーションを説明、また、補助86号線が整備される北区赤羽西地区には、赤羽自然観察公園など、すでに広大な延焼遮断ゾーンが存在していることから、道路整備は不要と指摘。「都は都市計画道路ありきの発想から、完全に思考停止している」と強調しました。