「保護入院」違法と断罪 「引き出し屋」密接な病院に〈2022年11月27日号〉

 ひきこもり支援を標榜する“引き出し屋”に暴力的対応を受けた原告男性(30代)が自身の医療保護入院は要件を満たさず違法だとして、精神科病院である医療社団法人成仁の成仁病院(足立区)に550万円の損害賠償を求めていた裁判で16日、東京地裁は原告の訴えを認め308万円の支払いを命じました。同日、原告と弁護団は記者会見を開きました。

判決を受けて会見する宇都宮氏(左から2 人目) ら=16日、千代田区

 弁護団は判決について医療保護入院は違法だと断罪したと強調。▽原告は精神障害者でないこと▽指定医による診察がない▽隔離などの措置が違法▽(男性を同病院に連行した)「あけぼのばし自立支援センター」(支援センター)と運営元の㈱クリアアンサーへの情報漏えいが違法―など原告の主張がほぼ認められたと見解を述べています。

 さらに判決文で「医療保護入院」について述べられていることについて、宇都宮健児弁護団長は「判決文では諸外国が撤廃した医療保護入院が日本だけ残っていることを弾劾している。制度は廃止すべきだ」と指摘しました。

 現在、国会では医療保護入院の手続きが首長の判断によって容易になるともとれる改正が上程されています。また、同病院の系列事業所が足立区の受託事業を委嘱されており、公金が支払われています。

 これらに関する東京民報の質問に、宇都宮団長は「日本は障害者権利条約を批准しており、国連から医療保護入院については改善勧告を受けている。改正は世界の流れに逆行するもの。また公金が系列事業所に支払われているのなら、地方公共団体は悪徳利用する素地などがないか厳しく管理監督すべきだ」と言及しました。

自宅から無理やり移送

 この事件は原告男性が2018年5月、親の依頼により自宅から「あけぼのばし自立支援センター」と運営元の㈱クリアアンサー(2019年、自己破産)同センターの職員らにより暴力的に車で連れ出され、新宿区内の施設に移動後に地下部屋に軟禁されたことが発端。のちに成仁病院に本人の意思を無視した医療保護入院をさせられ、おむつを付けられる屈辱的な身体拘束などを受けました。

 男性が支援センターに損害賠償を求める裁判では今年3月25日、東京地裁は慰謝料など110万円の支払いを命じています。判決では▽自宅から無理やり男性を車に押し込め、新宿区内の施設に移送したこと▽8日間、新宿区内の施設の地下部屋に軟禁状態に置いたこと▽自立支援センター(会社)が男性の医療情報を取得したこと―を不法行為と認定しています。

 東京地裁は今回の判決で、「ひきこもり状態にある人を半年で更生、社会復帰させる」とうたい、子の行く末を案ずる親などから高額な費用を徴収し運営してきた“引き出し屋”である支援センターだけでなく、密接な関係があると思われる成仁病院についても不法行為を認定しました。

 原告男性は「(裁判に)勝てると思っていませんでした。判決では精神疾患ではないとされてほっとしている。成仁病院は判決を受け入れて欲しい。刑事罰や行政指導がおこなわれるよう対応をしていきたい」と語りました。

東京民報2022年11月27日号より

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