「年収200万円で家族を養えますか。値引きシールが貼られるまでお肉は買えません」―自治体で働く会計年度任用職員(ことば)という1年雇用の自治体職員の声が、霞が関の青空に響き渡りました。日本自治体労働組合総連合(自治労連)は14日、午前中に総務省前で要請行動、午後は院内集会を行いました。

午前中に行われた要請行動には全国から約70人の組合員が、仲間の声を胸に集結。「会計年度任用職員の雇用保障と抜本的な処遇の改善を求める要求署名」を署名用紙で4万4205人分、オンライン署名1万6618人分、合計6万823人分を提出しました。参加者は「制度の導入で奪われた働きがい、誇り、笑顔を取り戻そう」と訴えました。
自治労連は会計年度任用職員の仕事内容と責任は正規の公務員と遜色のない一方で、勤務期間が単年度であるなど極めて不安定な処遇だとして、「働き続けられるか不安」との声が後を絶たないことから“つながる・つづける・たちあがる 怒りと誇りの3T運動”を展開。職場を中心にした紙のものと合わせてインターネットでもアンケートを実施。実態を告発して改善を求めています。
回答は1万3762件(10月5日現在)にも上り、そのうち労働組合に未加入の回答者が8割近くになっています。女性は86%、40代以上が84. 8%とそれぞれ割合が高い傾向にあります。
主に家計を維持していると回答した人は約25%で、そのうち半数が年収200万円に満たない“官製ワーキングプア”で勤続1年以上でも年収200万円未満が59.3%となっています。
切実な実態告発が
午後からの院内集会では会計年度任用職員として働く人たちの切実な声が多く紹介されました。4年目の50代の事務職員は「毎回(年)の試験の時期は憂うつ。やりがいのある仕事だが合格しなかったらと思うと夜も眠れない」と述べ、別の50代の職員は「10年以上勤務していても何の加算もなく、昨日入職してきた人と同賃金。1年きりの使い捨てのよう。ダメなら切ればいいという正規職員の声を聞いた」とメッセージを寄せています。20代の男性職員は「専門性が生きる仕事。長く続けたいが将来を考えると辞めることが視野に入る。しかし、利用者に迷惑をかける。雇用が安定したり、処遇が改善すれば安心して働けるようになり利用者への支援が継続できる」との思いが寄せられています。また「行政の継続性が損なわれ、住民に近いところで暮らしと命を支える公務が形骸化しかねない」との声もあがりました。
参加者は、現場で起きている「やりがい搾取ともいえる制度の改善を早く。待ったなしです」と強調しています。
集会には日本共産党の宮本たけし、本村のぶ子両衆院議員と伊藤岳参院議員が参加して激励しました。
(ことば):会計年度任用職員 地方公務員法の改正で2020年度から新たに設けられた非常勤職員の制度。地方公務員法第22条の2の規定に基づき任用される。これまでの臨時的任用職員や非常勤の特別職員と比べ、休暇、福利厚生、手当等の拡充がされる一方で、服務規律(守秘義務や職務に専念する義務等)が適用され、懲戒処分等の対象にもなる。単年度(4月1日から翌年3月31日)の間で必要とされる期間を任期として、任期は手続きなく自動的に継続されない。事務職、保育職(保育士、保育補助)、医療職(看護師、保健師、栄養士等)、その他の専門的な職等、多岐にわたり採用されている。
東京民報2022年11月27日号より