コミバス 都内自治体9割で走る 住民運動・論戦がアクセル〈2022年12月11日号〉 

 高齢化が進む中で、”買い物難民”が社会問題化しています。病院までの身近な”足”の確保も切実です。公共交通網が発達していると思われる東京も、例外ではありません。日常の移動を助けてくれる住民の”足”として喜ばれているのが、コミュニティバス、いわゆるコミバスです。武蔵野市のムーバス(1995年)から全国に広がったとも言われ、住民運動の広がりの中で都内の多くの自治体が走らせています。一方、不採算や財政上の理由から縮小・廃止や、導入に二の足を踏む自治体もあります。日本共産党都議団は11月2日、都内の実態調査を発表しました。この10年の変化を見ました。

採算性がブレーキに

品川区試験運行を開始

品川区初となるコミバス「しなバス」

 「西大井から大森駅行きバスがなかったので、とてもうれしい。病院に行くときに使っています」

 今年3月28日からコミバスの試行運行が始まった品川区民の喜びの声です。

 品川区では鉄道駅が延べ40駅、路線バスは61系統運行され、交通の利便性が高い自治体の一つとみられます。一方でバス停から距離がある地域や本数が少ない地域、道路の幅員が狭くて大型バスを通せない地域もあります。

 そうした地域住民から、「通院や買い物に行くのに駅まで遠くて大変」「電車やバス停から自宅が遠いため、自転車を利用できない雨天や高齢者は特に大変」など、切実な声が聞かれます(共産党品川区議団実施のアンケート)。

 同区ではコミバス導入を求める住民運動が広がり、8年間で18回の陳情・請願が区議会に出されました。共産党区議団は「実施は急務」と導入を区に提案してきました。自民、公明と区は「区内交通環境は充実している」などと住民要求に背を向けていました。しかし、粘り強い住民運動と共産党の議会論戦を背景に、2018年10月、区が導入を決めました。

 運行に向けて区は、20年9月から地域公共交通会議で検討を進め、ワークショップで地域住民の声を反映するなどしてルートを決定。車両は運行事業者が購入し、区が全額補助。狭い道路も通れる小型バス(座席10人、総定員29人)を導入しました。名称の「しなバス」は公募で決めました。運賃は220円(こども半額)。シルバーパスの利用が可能です。10月にはダイヤ改正で、西大井駅と大森駅を結ぶ区間の路線が1時間あたり2便から3便、1日あたり56便から84便に増便になりました。

 区は本格実施の評価指標として、年間の運賃収入を運行経費で割った収支比率50%以上を定め、これを下回った場合は廃止を含め見直す方針。本格導入後も3年連続で基準を満たさない場合は、廃止を含めて見直すとしています。

 共産党品川区議団は、導入決定後も、住民アンケートなどで住民要望を聞き取り、運行の継続、路線拡充、運賃の引き下げを求めています。

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