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- 高輪築堤 未発掘部分の完全保存を 吉良氏ら文化庁に聞き取り〈2023年1月22日号〉
JR東日本が進める高輪ゲートウェイ駅(港区)周辺の大規模な再開発の過程で見つかり、保存を求める専門家らの声にもかかわらず、大規模に破壊されてしまった、日本初の鉄道遺構「高輪築堤」をめぐり、未発掘部分の保存を求めて、住民や専門家らが、日本共産党の吉良よし子参院議員とともに13日、文化庁の見解を聞き取りました。「高輪築堤の全面保存を求める会」のメンバーや、地元区議らが参加しました。
高輪築堤は、1872年(明治5年)に、日本で最初の鉄道が開業した際に、海上に線路を敷設するために築かれました。
2019年に石垣の一部が発見され、鉄道開業時に描かれた錦絵そのままの、極めて良好な状態で発掘されました。
JRが進める再開発は1~6街区に分けて進められており、そのうち1~4街区が、第一期工事の対象となっています。この1~4街区で発掘された築堤約800メートルは、国が史跡に指定した約120メートルと、移設保存が決まった約30メートルをのぞく大半が、「記録保存」として、記録をとった後に解体されています。
こうした事態に、考古学関連のさまざまな学会が、開発見直しや保存を要望する声明を出したほか、ユネスコの諮問機関イコモス本部(パリ)も、世界遺産級の遺構が破壊されそうな場合に出される「ヘリテージアラート(国際的遺産警報)」を22年1月に出していました。
第二期工事の対象となる5~6街区にも、築堤が未発掘の状態で埋まっていることがわかっており、JR東日本は専門家らを入れた「高輪築堤調査・保存等検討委員会」を設け、開発のあり方を検討しています。
初の鉄道遺構は国民共有の財産
文化庁からの聞き取りで、参加した住民は「世界遺産級とも言える、国民にとっての財産なのに、1~4街区の部分はほとんどを解体してしまった。5、6街区は何としても守ってほしい」と訴えました。
文化庁の担当者は「JR東日本の検討委員会にオブザーバー参加しており、保存を求めている。皆さんの懸念をJRに伝えたい」と答えました。