「子どもが集う場所でなぜ」新宿御苑 原発「汚染土」を再生利用〈2023年1月22日号〉

 東京電力福島第1原発事故の汚染土の処理をめぐり、環境省が新宿御苑(新宿区内藤町)の花壇で「再生利用」する実証事業を計画している問題で、日本共産党の笠井亮衆院議員、吉良よし子参院議員、新宿、渋谷両区議団は13日、環境省に聞き取りを行い、住民の不安が大きい同地での実証事業の見直しを求めました。地元住民らも同席しました。

現地を調査する日本共産党議員ら=12月27日

 再生利用するとしているのは、民家の庭先や農地を除染するために放射能に汚染された土を剥ぎ取って回収した表土。福島県内の中間貯蔵施設で保管しています。このうち放射能濃度が8000ベクレル/㎏以下の汚染土を再生利用するとしています。

 同省は処分量を減らすため、「再生利用」したい考えで、そのため汚染土を埼玉、東京、茨城にある同省管理の3施設で実証事業を行う方針。東京は新宿御苑を選びました。

 西村明宏環境相は昨年12月9日の記者会見で「地元に丁寧に説明を尽くしてまいりたい」と述べましたが、21日に開いた住民説明会は、対象を近隣の新宿1・2丁目の住民で事前登録した50人に限定。周知も掲示板に案内状を張っただけで、参加は30人ほどでした。参加者や近隣住民から「もっと広く説明会を開いてほしい」「実証事業はやめてほしい」との意見が相次いでいます。

「汚染土」再利用の実証事業について環境省から聞き取りをする笠井衆院議員、吉良参院議員と新宿、渋谷両区議ら=13日

 冒頭、日本共産党渋谷区議団が渋谷区民への説明会開催と、同区への情報提供を求める申し入れを行いました。「住民から区役所への問い合わせが相次いでいる。隣接する渋谷区で説明会をやってほしい」と訴えました。

 環境省から説明を聞いた笠井議員は、「事故の後始末は国と東電に責任があり、住民に押し付けるべきではない」「住民説明会の参加者からも説明が不足しているとの意見が出ている。広く丁寧な説明が必要だ」、吉良議員は「コロナ禍前は、年間250万人も利用している場所で、安全性をどうやって確認できるのか」とのべ、実証事業を強行しないよう重ねて求めました。

 中村たかゆき・新宿区議予定候補は、「子どもたちがたくさん集う場所に、なぜ決めたのか。放射能は子どもほど影響が大きい。この地でやらないことを検討しないのは疑問だ」とのべ、計画の再検討を求めました。

 新宿一丁目に住む女性は「福島の人たちが困っていることは分かるが、事故を起こした東電と政府が責任を取るべきだ。放射能を拡散しないでほしい」と憤りました。

 環境省の担当者は、場所の変更は検討していないとしつつ、「理解が得られるまでは着手しない」「ご意見は庁内で共有し、検討します」と答えました。

 また、「住民が多い都会で実証事業をやるのは、放射能に慣れろということか」との質問に、「実証事業の目的に、理解醸成の場として位置付けている」と認めました。

実証事業が予定される新宿御苑の花壇

新宿御苑での実証事業

 環境省の説明などによると、新宿御苑での実証事業は、公道から約30メートル離れた一般の立ち入りが規制されている管理区域で実施。縦3メートル、横10メートルの花壇を1メートルほど掘って集水シートを敷き、2トントラック5~6台分の汚染土6立方メートルと、それを覆う土を50センチずつ入れる計画。集水シートの水は貯水槽に集められ、「安全性」を確認した後、下水道へ放流します。

東京民報2023年1月22日号より

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