「やさしく強い経済」は、日本共産党の経済ビジョンです。本書はこれを150ページ余りで分かりやすく解説します。
第一に、政府の新自由主義的経済政策が、いかに弱くてもろい政策であるかを国民の立場から解説し、この経済政策の転換なしには、人々の暮らしと日本経済の未来もないことを示しています。
第二に、「経済が成長すれば国民への分配も増加する」というトリクルダウン理論と市場原理主義の間違い・ごまかしを批判します。新自由主義の目的は、大企業のもうけの最大化にあり、その手段として、①賃金の抑制②社会保障の改悪③国家の所得再配分機能の否定④民営化路線⑤金融マネー・経済の肥大化―が採用されています。社員の非正規化や株価維持のための諸政策など、心に落ちる説明です。
第三に、岸田首相は、新自由主義の弊害を是正し「新しい資本主義」への転換を主張していますが、自民党から誰が首相になっても、新自由主義は財界の大方針でありこれを変えることはできないと指摘します。