自民党は2月26日、定期党大会を開きました。党総裁演説で岸田首相は、「時代は憲法の早期改正を求めている」として、改憲の運動を加速させることを訴えました▼印象的だったのが、安倍晋三元首相の「成果」を持ち上げた岸田氏の言葉です。安倍政権、菅政権の時代を「民主党政権によって失われた日本の誇り、自信、活力を取り戻すために、この国を前進させた、『前進の10年』」と語りました▼安倍政権のアベノミクスは、異次元の金融緩和で株高を演出するなど、大企業や富裕層には巨額の利益をもたらしたものの、その間に日本経済は、非正規雇用の増加や格差の拡大で、他国から見ても特異な「給料の上がらない国」「経済成長できない国」になってしまいました。安保法制をはじめ、アメリカの世界戦略に付き従って「戦争する国」への道を突き進んできたのも安倍政権です▼自民党大会の運動方針は、その流れをさらに押し進め、「反撃能力」の保有を明記。相手国へのミサイル攻撃など、敵基地攻撃能力を整備するとしています▼現在の状況を「明治維新や先の大戦に匹敵する歴史の転換点」と位置付けた岸田首相。大軍拡と戦争への準備の先に、「新しい戦前」という「歴史の転換点」を迎えるわけにはいきません。
東京民報2023年3月日号より