失った故郷は人生そのもの 原発回帰 みんなで止めよう 東日本大震災12年 福島と東京つなぎトーク〈2023年3月26日号〉

 東日本大震災と福島原発事故から12年目を迎えた11日、福島と東京をつないで、気候危機打開の方策と、岸田政権が進める「原発回帰」について考えようというトーク企画が開かれました。日本共産党の山添拓、いわぶち友両参院議員と、里吉ゆみ都議が、いまだに原発事故の終わりも見えない中で、「原発ゼロからの後退は許されない」と語り合いました。

 山添さん、里吉さんが豊島区の日本共産党都委員会の会議場から参加。福島県出身で、北海道・東北・北関東を活動地域とする、いわぶちさんが福島県からオンラインで出演しました。

岸田政権による原発回帰の動きを批判する里吉氏(左)と山添氏=11日、豊島区

 最初に、いわぶちさんが、福島第一原発を視察した際の写真も交えて現地報告。8万人もの被災者が自分の故郷に戻れず、東京23区の半分の広さが帰還困難区域となったままの現状を説明しました。

 いわぶちさんは、印象に残っている国会質疑として、仙台高裁が2020年3月の判決で「故郷(ふるさと)」の喪失・変容に対する慰謝料を認めたのに対し、東電側が「故郷という法益は存在しない」という立場で上告した際の質疑を紹介。「被災者に、故郷とは何かを聞いた。自然環境だったり、人との関わりだったり、それを通じて得てきた安心感、毎日見ている景色や、そこでしか感じられない匂い。故郷は場所ではなく、人生そのものなんだと改めて感じた」として、「原発で働いてきたという人たちも、『(故郷を奪われた)自分たちと同じ思いを他の人にはしてほしくない』と語っていた。安全神話を復活させる原発への回帰は、絶対に許してはならない」と強調しました。

「安定供給」は最後のよりどころ

 里吉さんは、小池都政の気候危機対策の現状と都議会での論戦について発言。住宅や公共施設の省エネ化など、さまざまな成果はあるものの「大型開発の推進など、気候危機に逆行する大きな課題が残っている」として、その一つが「原発からの脱却を都知事として表明しないことだ。事故を起こした原発で生み出した電力は、東京が利用していた。東京こそ脱原発を表明して、そのためにこそ省エネや再エネの推進を進めることが必要だ」と強調しました。

 山添さんは、岸田政権による原発政策の転換について「原発への『依存を低減』としていたのを『最大限活用』としたり、運転期間も原則40年、最大で60年としていたのを、60年を超えて可能とするなど、これまで言ってきたことをすべて投げ出そうとしている」と批判しました。

 また、物価高騰のなかで原発がエネルギーの安定供給のために必要だという推進派の議論について「環境に良いとか、コストが安いなど、これまで推進の口実にしてきたことが次々と破たんしたなかで、『安定供給』が推進派の最後のよりどころとなっている」と指摘。「安定供給のためには需要の増減に応じて出力の調整が柔軟にできることが重要で、大量の電気を発電し続けないといけない原発はむしろ、安定供給には向いていない」と強調しました。

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