医療を受ける権利保障して 民医連 外国人医療めぐり会見〈2023年4月30日・5月7日合併号〉

 入管法改正案の審議が国会で始まり、再び廃案を求める抗議の声が日本中で上がる中、全日本民主医療機関連合会(民医連)は19日、無保険の外国人医療に関わる現場からの事例調査結果を緊急発表し、同法案の廃案を求めました。

 調査は2022年の1月1日~12月31日、全国703事業所(病院・診療所・歯科)で、外国人から医療費の支払困難や医療費に関する相談を受けた事例を対象としています。

 調査に寄せられたのは139事例で、そのうち92%が公的保険を持たず、その75%に対して無料低額診療事業を利用して治療が行われました。約8割が入管法に基づく仮放免者でした。

 無料低額診療事業は、医療費の支払いが困難でも必要な医療を受ける機会を制限されることがないよう無料または低額で診療を行う事業です。患者が無保険の場合は、全額が医療機関の持ち出しとなります。慢性疾患など長期的な治療を必要とする場合は、医療機関の負担が高額になり、経営を大きく圧迫します。

 中野共立病院の渋谷直道さん(ソーシャルワーカー)は「医師の診察、検査、薬剤などすべてが持ち出しで、やればやるほど収入がなくなる」と訴えました。

 東京都には、外国人医療補填ほてん事業がありますが、疾患が限定されるうえに患者に医療費の督促を複数回することが条件で、事実上、利用できないのが実態です。

 入管施設からの仮放免中は就労が禁じられ収入はゼロにもかかわらず、生活保護を利用することはできません。

 全日本民医連の久保田直生常任理事は「実際はもっと多くの方が受診を我慢しているのではないか」と指摘しました。

 さらに「国際人権法98条に定める生存権の侵害」と指摘。外国人医療にかかわる問題の最も有効な解決方法は、「国際基準に基づいた難民認定」だと提案しました。

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