「路線バス運転士の労働実態を無視している。同一労働・同一賃金を認めず、労働者の平等取り扱い義務に反した不当判決だ」(原告弁護団)-八王子を中心に路線バスを運行する京王グループの西東京バスの運転士が、飲食施設のない発着所においてコンビニエンスストアで現金にて食事を購入したことによる懲戒処分(私金所持違反)の取り消しと、同じ運行業務に就く運転士間で統合前の所属会社により年間100万円超の賃金格差は不当だと会社を訴えていた裁判で24日、東京地方立川支部(佐藤重憲裁判長)は原告の訴えを退けました。
同バスは規制緩和の流れを受け経費削減のために分社化した後に、子会社の運転士の定着が悪いために再統合。その際、子会社に入社した後に同バスに移籍せざるを得なかった運転士と直接採用された運転士の賃金格差を是正せずにいます。同じバスを同じダイヤで運行させ、同じ会社の正社員の運転士間で二つの賃金制度が長期間に渡り放置されています。
弁護団は判決後、「同じ職場で同じ業務を行い、同じ正社員でいながら契約形態が違うことで同じように扱わなくて良いということになり、差別を助長することになる。一部の労働者を不当に扱うことは許されないという社会の流れにも反する」と批判しました。
原告の安田崇弘さんは「悔しい。賃金差別のために結婚や子どもをあきらめる人もいる。社会問題にしなくてはいけない。1日8時間働けば暮らしていける社会に向けて、この判決をひっくり返したい。たたかいは続きます」と控訴に向けた決意を語りました。「バス運転士は運行の合間の時間は賃金換算されず、長時間拘束も横行している。是正に向けて支援を強めよう」と支援者も力を込めました。
東京民報2023年4月30日・5月7日合併号より