広島市で開かれたG7サミットが21日、閉幕しました▼初めて被爆地で開催されたサミットとして、核兵器のない世界への具体的な展望を示すことが期待された今回のサミット。しかし、発表された「広島ビジョン」は、核兵器廃絶を「究極の目標」に棚上げする一方、「核兵器は、防衛目的のために役割を果たす」と居直っています。ビジョンは、世界92カ国が署名した核兵器禁止条約にも触れていません。被爆者からは「怒りに震えている」など厳しい批判の声が上がっています▼日本政府は、広島ビジョンを「歴史的文書」と持ち上げます。サミットに合わせて開かれた日米首脳会談では、「核抑止力の強化」を確認し、核兵器に固執する姿勢をあらわにしました▼サミットの直前には、米誌タイムが岸田首相を表紙に掲載し、「平和主義を捨てて、日本を真の軍事大国にしたいと望んでいる」という見出しを付けました。日本政府の異議で、見出しは「より積極的な国際舞台での役割を与えようとしている」に変えられたといいます▼アメリカの軍事戦略に追随し、大軍拡路線に突き進む岸田政権を国際社会は冷静に見ています。憲法9条を持つ日本が果たすべき役割は、和平のための外交努力と、非軍事の人道・復興支援の道です。
東京民報2023年5月28日号より