街角の小さな旅34 所狭しと並んだ古今の文具と歴史 日本文具資料館と浅草橋界隈 

 文具の歴史は文字の発明とそれを記録するための書くものと書かれるものの歴史です。

 その起源は古代のエジプトで楔形(くさびがた)文字が岩に刻まれ、植物の葉でつくられたパピルスにペンとインクを使って自由に文字を書くことができるようになったことにさかのぼります。

浅草橋から望む柳橋の風景

 日本文具資料館は「文化を育てる文具」を理念に古今東西、歴史を刻んできた文具を一堂に蒐集(しゅうしゅう)・展示しているミュージアムです。

 ちなみに「文具」は今日の文房具にあたる言葉で、これに対して「文房具」は元来、筆、墨、硯(すずり)、紙のみを指す言葉でした。

日本文具資料館

 こじんまりとした展示室で迎えてくれるのが江戸期に備前國志賀島で発掘された「漢委奴国王印」の純金印(レプリカ)と中国の大水晶印。つづいて「墨の伸びが良い」「墨色が良い」「溜めた墨が涸れない」など硯の最高峰といわれる中国広東省産の端渓大硯、エジプトなどの古代の筆記器具、さらには伊達政宗や徳川家康が使用した鉛筆(レプリカ)、江戸期に使われた矢立、歴史をたどるアンティークの万年筆など所狭しと展示されています。

 また、古くから世界で使われてきたそろばんや近代の機械式計算機と電卓のルーツとなったカシオリレー計算機などありとあらゆる文具に出会うことができます。

 日本文具資料館(東京文具販売健康保険組合会館1階)はJR・東京メトロ浅草橋駅のすぐ近く。平日の午後1時から4時まで開館、入場無料。

柳橋界隈

 資料館を出て右に歩みを進めJR高架下をくぐると隅田川テラスの入り口があり、隅田川の護岸に沿って浅草方面にウオーキングを楽しめます。また、その先には小唄、端唄、長唄、清元など江戸小歌で一世を風靡(ふうび)した市丸の旧居があり、ギャラリーとカフェ、バー(不定期営業)が営まれています。下町の風情と二階のカフェから隅田川の川風と行き交う遊覧船を楽しむことができます。

 反対に左にすすむと柳橋。ここは井の頭池(三鷹市)を水源とする神田川が隅田川に注ぎ込むところで、江戸期には船宿が並び墨堤の桜や両国の川開きの花火を楽しむ船遊びや猪牙舟(ちょきぶね)でにぎわったところです。いまも河岸には船宿の名残を残した佃煮のお店や屋形船が並んでいます。

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