「日本は核廃絶の先頭に」 原爆犠牲者追悼のつどい〈2023年7月30日号〉

 2023年度東京都原爆犠牲者追悼のつどいが23日、葛飾区のテクノプラザかつしかで行われました。被爆者や遺族をはじめ、小池百合子都知事、東京選出の国会議員、都議ら159人が参列しました。

式典で挨拶する小池知事(中央)=23日、葛飾区

小池知事が式辞を述べ、追悼のことばを一般社団法人東友会(東京の被爆者団体)の家島昌志代表理事、本橋ひろたか都議会議長らが述べました。

 追悼の言葉で家島氏は、ロシアの突然のウクライナ侵攻から1年半が経ったことに触れ、戦術核兵器をベラルーシに配備するなど核兵器使用の危険を訴え、ザポリージャ原発の置かれた現状については、福島を知る私たちにとっては不安極まりないものだと強調しました。

 「5月G7広島サミットでは戦争終結についてではなく、ウクライナ支援の強化と核抑止力の協調の議論に終始した」と核廃絶に背を向ける世界の指導者を批判。

 「被爆者は、放射能の影響と差別に苦しみながらも、一刻も早い核兵器の廃絶を世界に訴えてきた。唯一の戦争被爆国である日本が核兵器禁止条約加盟に背を向けていることは、納得できない」と、被爆者の声に応えるよう訴えました。

 都民・参列者を代表して青木克明医師(おりづるの子〈東京被爆二世の会〉会長・立川相互ふれあいクリニック)が追悼の言葉を述べました。

 青木医師は立川市内の診療所で医師として勤務する傍ら、被爆者、被爆二世の集団健診をしています。都内の被爆者も高齢化が進み、介護が必要になっている実情を訴えました。

 都は被爆者の要望に応え、独自の援護施策として国の被爆者一般介護手当への加算などを重度の障害者まで対象を広げ、昨年は354人が介護手当を受給しました。都内被爆者の9.2%で、広島県よりも高い受給率だと述べ、都に感謝を伝えました。

 昨年度のつどいから新たに、都内で288人の被爆者が亡くなり、名簿には、8825人の名前が刻まれました。

 東友会は今年結成65周年を迎えます。広島・長崎には遠くて行けない東京の被爆者が「東京でお参りするところがほしい」と、1965年に品川区の東海寺の一角に慰霊碑を建立。毎年慰霊祭を行ってきました。

 無宗教での追悼を願う声に加え、被爆者の高齢化で都民の協力を得て慰霊碑の維持管理を行う必要がでてきたため、公立公園内への移設を検討。2012年に、国の慰霊事業として、国と都からの助成と被爆者や市民からの募金で、現在の葛飾区青戸平和公園に慰霊碑が移設されました。以来、原爆犠牲者追悼のつどいは、東京都の委託を受けて、一般社団法人東友会が執り行っています。  

 つどいには日本共産党の宮本徹衆院議員、和泉なおみ都議、葛飾区議らが参加。献花には笠井亮衆院議員が参加し、原爆犠牲者を追悼しました。

葛飾区青戸平和公園内の原爆犠牲者慰霊碑。「われら生命もて ここに証す 原爆許すまじ」

東京民報2023年7月30日号より

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