多数の樹木を伐採し、超高層ビルなどを建設する神宮外苑再開発(新宿、港区、約28万平方メートル)で8月27日、「チップコ-命の木」フェスティバルが、新野球場の建設に伴い移植が計画される18本のイチョウ並木のもとで開かれました。市民団体「Save Jingu Gaien」が主催しました。
主催者を代表して迦部留(かべる)チャールズさん(東洋大学准教授)があいさつ。イベント名について、伐採の危機にあったヒマラヤの森を守ったインドの非暴力の森林保護運動チップコにちなんだと紹介。「三井不動産という巨大企業を相手に勝ち目はないかもしれない。それでも無理な希望を抱くことが大事です。みんなが動かないと守るのは難しい。請願署名が広がるよう協力を」と呼びかけました。
外苑の緑は未来の宝 木の下でフェスタ多彩に
会場となったイチョウ並木には、秋田県美郷町の「美郷わらの会」の人たちが作った「縄飾り」が飾られました。同町を拠点に活動するクリエイターの、わいないきょうこさんが持参し、飾り付けました。わいないさんは「自然が壊れているのに逆行する樹木伐採が許されるのか。縄飾りをダイナミックなアクションを起こすツールにしたい」と語りました。
わいないさんによると、縄飾りには宗教性はなく、イチョウをモチーフに木を守ろうという人を形どっているとのこと。制作から飾り付けまでをドキュメントにして、今何が起こっているかアート作品として世界に発信していきたいと意欲を語りました。
フェスティバルでは、書道家のウイリアム・リード氏(全日本書道連合会書道十段、山梨学院大学教授)によるデモンストレーションも注目されました。「樹」と「種」という文字を一気に書き上げました。「木が大好きです。気持ちが優しくなれる。都会にある貴重な木を伐採するなんて、どうかしている」と眉をひそめました。
他にもボディーペインティングや紙芝居、絵本の朗読、音楽パフォーマンスなど多彩なイベントが繰り広げられ、参加者は思い思いに楽しんでいました。人間と樹木の絆を示す生きた鎖も結ばれ、自然の宝物を未来世代のために守ろうという決意を示すものとなりました。
東京民報2023年9月3日号より