国立ハンセン病資料館 組合員不当解雇で和解 「運営変える足掛かりに」〈2023年9月24日号〉
- 2023/9/23
- 労働・市民

厚生労働省が所管する国立ハンセン病資料館(東村山市)で、委託先の変更に伴って不当に解雇(不採用)された2人の学芸員が、職場復帰を求めていた問題で13日、受託者の笹川保健財団と所属する労働組合の間で和解が成立しました。同日、行われた中央労働委員会の第8回調査の報告会で明らかにされました。
2人は仲間とともに2019年、職場のハラスメントや資料館運営の正常化を求めて国家公務員一般労働組合(国公一般)のハンセン病資料館分会を結成。2020年4月に、資料館の運営が日本財団から、同財団と密接な関係にある笹川保健財団に変更された際、それまで例がなかった採用試験で不採用とされました。
東京都労働委員会は22年3月、不採用は、密接な関係にある両財団による、組合員排除の不当労働行為と判断。笹川保健財団が救済命令に従わず、中労委での調査が進んでいました。
和解内容は①解決金の支払い②笹川保健財団は遺憾の意を表明し、労働組合の活動を保証する③資料館の展示や運営について、意見聴取の場をつくる④労組は団体交渉で資料館運営などへの要望を提出できる⑤ハラスメント防止の仕組みづくり-などです。
報告会で当事者の稲葉上道さんは「資料館の運営の変質を止めたいという思いで、組合をつくった。自分が職場に戻れないことは残念だが、まともな運営をさせる足掛かりをつくることを重視した」と表明。大久保菜央さんは「国立ハンセン病資料館は、当事者のたたかいで生まれた。そのたたかいに、この3年半、連なることができた。当事者が望んだ資料館にしていく取り組みを続けたい」と語りました。
東京民報2023年9月24日号より