神宮外苑地区(新宿区・港区)の再開発事業を認可したのは違法だとして、都に取り消しを求めている訴訟の第2回口頭弁論が11日、東京地裁(岡田幸人裁判長)であり、原告2人が陳述しました。
建築家の横河健さんは、1913年の大正期からの神宮外苑の成り立ちについてのべ、「神宮外苑計画こそが日本の近代都市計画上初めての完成度の高いランドスケープ(景観)デザインが生まれたことになる」と強調。
「本来は建て替えの必要のない神宮球場、秩父宮ラグビー場の場所を取り換え、超高層ビル3本を建設するという論外な計画に許可を与えたのが東京都だ」と批判しました。
その上で「景観設計は民間の土地、公共の土地は関係なく、連続した景観であり、官・民を連続して考えることこそ行政である東京都はじめ国の役割だ」と指摘。「稀有(けう)な近代景観の歴史資産を次の世代に継承することなく破壊されることは許されない」と、声を詰まらせ、訴えました。
年に10回以上は秩父宮ラグビー場に観戦に通っているという大林聖弥さんは、熱烈なラグビーファンの立ち場から陳述し、秩父宮ラグビー場がラガーマンの勤労奉仕でつくられるなど、神宮の森と同様に国民の勤労奉仕でつくられ、数々の名勝負が昔から行われてきた競技場だと強調。
「多くのラガーマン、ファンの記憶をあの場所に残したまま使っていくべきだ。18本の(イチョウ並木の)兄弟木は4列の木とともに、朽ちるまであの場所にあるべきです」と訴えました。
東京民報2023年10月22日・29日合併号より