「一方の意見だけを聞き、すすめないで下さい」-DV被害者の震える声が会場に響きました。
約150のDV被害当事者、弁護士、研究者などの個人・団体らからなる「『離婚後共同親権』から子どもを守る実行委員会」は11月22日、国会内で記者会見と院内集会を開催。国の法制審議会(法制審)が「離婚後共同親権」について導入ありきで拙速に進められているとして、問題点と危険性を訴えました。
集会主催者は、法制審では▼議事録の公開が8月開催分まで▼パブリックコメント(意見募集)は賛成意見に偏重して配布されている▼当事者として被害者団体が参加していない-などと指摘しました。
離婚問題を多く扱う岡村晴美弁護士は、「進め方が拙速で強硬だ」と強調。法制審が出しているたたき台では夫婦間で合意した他、家庭裁判所の決定で共同親権が導入できるとしている点について、「合意」といっても夫婦間のパワーバランスで強要される可能性があると解説。進学や修学旅行などに別居親の確認が必要となりかねず、合意のない場合に適用することが子どものためになるケースを想定できないなどと語りました。また、DVのケースは除外するとされていても、証明ができない場合もあることや、現在でも別居親から同居親に対して司法手続きを用いての嫌がらせが起きているが、共同親権が導入されればそれを口実とした濫訴が頻発するだろうと告発。
「共同親権導入で日常的に1人で育児を担っている母親が暴力やモラハラなどのDVに遭っても子どもを連れて逃げれば『連れ去り』と訴えられる。責任を持ち育児する母親を危険にさらすことはいけない」と本質を明らかにしました。
斉藤秀樹弁護士は「法制審では、支払い率が2割となっている養育費については審議の対象外として、議論がなされていない」と強調。フリーライターの今一生氏は、「親権が『親の権利』として誤って解釈されており、子の選択や権利がない」と問題点を述べました。
集会には日本共産党の吉良よし子、倉林明子両参院議員が激励にかけつけました。自民、立憲民主、社民、れいわなども参加し、慎重な議論の必要性を語りました。吉良氏は「子は親の従属物ではない。今のまま拙速に進めてはならず、当事者の意見を両方から聞き徹底的に議論すべき。力を尽くす」と述べました。
東京民報2023年12月3日号より