【寄稿・松野迅】反戦掲げる人々に寄り添い 23日にリサイタル〈2023年12月3日号〉

 バイオリニストの松野迅さんが、12月23日にリサイタルを開きます。松野さんに寄稿してもらいました。

 楽器を手にして55年、ステージで演奏をはじめて50年。私の音楽生活が中断なく継続できたのは、日本国憲法第九条に支えられた環境にあったからでしょう。

 コロナ禍に続く戦禍による混迷は、音楽界にも拡がっています。

 今年8月、ポーランドのシマノフスキ国際音楽コンクールは「ロシア人作曲家の作品演奏を禁じる」と参加者へ通知しました。また音楽コンクールの国際組織「国際音楽コンクール世界連盟」は、すでに昨年4月「ロシアのウクライナ侵攻を受け、モスクワの伝統ある〈チャイコフスキー国際コンクール〉を排除する」と発表しています。しかし連盟は続けて「国籍を理由に個々のアーティストを差別したり排除したりすることには反対する」と付記し、かろうじてコンクール参加者各人への、人道的な立場を保証することを表明しました。

 本年12月の私のリサイタルプログラムは、ロシアで活躍した作曲家たち、アレンスキーやカリンニコフの作品を含みます。いま、ロシア国内で反戦を掲げて闘っている人々の心に寄り添う気持ちです。

 冒頭は、バッハの鍵盤作品「インヴェンション」より3曲をピアノトリオの編成で演奏します。作曲家・藤井園子の手による編曲版をベースとした斬新な試みです。プログラムの最後には、本年没した外山雄三の作品「廣島のうた」(抜粋)をお届けします。

 会場の銀座・王子ホールは、ゆとりある空間に座席配置がされていますが、本公演は減席で対応しています。

 23日(土)午後2時開演、銀座・王子ホール。チケット一般5500円(全指定席)。問合せ090(7107)6661 松野迅後援会

東京民報2023年12月3日号より

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