自衛隊や米軍の基地周辺などの土地利用を監視する土地利用規制法による第四次指定の候補が12月に示された問題をめぐって11日、日本共産党の宮本徹衆院議員、山添拓参院議員、尾崎あや子都議と地方議員らが内閣府と防衛省などから聞き取りを行いました。該当する土地に住む住民にもほとんど知らせないまま、指定が進む現状に参加者から批判の声が相次ぎました。
土地利用規制法は、米軍・自衛隊基地などの周辺約1キロの土地や、国境離島を「注視区域」に指定し、土地などの利用状況を調査・監視するもの。「機能阻害行為」が確認されれば、国が中止を勧告・命令するとしています。さらに、司令部機能を有する基地など、特に重要とされる「特別注視区域」では土地の売買に国への届け出が必要になります。
政府は、2022年12月から指定の作業を開始し、今年1月の第3次の施行までで、399区域(このうち特別注視区域115区域)を指定しています。
第四次の指定候補は全国184区域(このうち特別注視区域33区域)で、都内は9区域(このうち特別注視区域1区域=都内の区域一覧参照)。内閣府は「四次までで、必要な指定はおおむね終了する。今後は、施設の新設や廃止による指定の変更があり得る」としています。
1カ月では周知不可能
聞き取りでは、内閣府の担当者が、区域指定の考え方を説明。司令部機能がある基地の周辺など、特別注視区域にあたる地域でも、「区域の面積の大部分が人口密集地区にあたる場合」などは、経済活動への影響を考えて、注視区域の指定にするなどと話しました。
参加者から疑問の声が相次いだのが、区域指定の候補の詳しい住所が示されず、説明会も開かれないなど、当該地域に暮らす住民も知らないままに、指定が進む現状です。
第三次で指定された府中基地について、府中市のからさわ地平市議は「12月11日に初めて、詳しい区域が公表され、1月15日には指定が施行される。わずか1カ月での実施で、住民への周知がまったくされてない。5万人もの住民が対象となるのに、1カ月での周知など不可能だ」と強調しました。
住民説明会を求める声が相次ぎましたが、内閣府は「コールセンターを設置するなどしている。安全保障にかかわるので、国の責任で指定を判断する」と開催を否定しました。該当する地域の議員から「住民に知らされないまま、監視だけするなどありえない」との批判が出されました。
第四次の候補の詳しい住所は、当該の自治体には国による聞き取りのために連絡されています。立川市の上條彰一市議は「土地の売買の規制などで住民が最も大きな被害を受けるのに、どの地域が候補なのかも知らされない。自治体も住民の意向を聞くことができない仕組みは改めるべきだ」と質問。内閣府の担当者は「検討段階の候補なので、内容を公表しないよう自治体にお願いしている」と説明しました。
宮本、山添両氏が「混乱を生まないためには、むしろ国が公表すべきだ」として、「自治体の判断で公表するとしたら、国は妨げることはできないということか」とただしたのに対し、内閣府担当者は「示さないようお願いしている。禁止するといった規定はない」と答えました。
国は第四次分の指定について、2月ごろに自治体の意見聴取の結果を整理した後、審議会を経て告示するとしています。
東京民報2024年1月21日号より