図書館の将来は市民の声で 狛江市 住民投票求め直接請求署名〈2024年3月3日号〉
- 2024/3/2
- 都民運動
狛江市が進める中央図書館の分割・移転計画に対し、市民が意思表示できる場をつくろうと、住民投票の実施を求める直接請求署名が3月9日まで取り組まれています。子どもと大人の図書館が同じだと「(子どもが)うるさい」などの理由で、図書館を分割しようという計画に、市民は、「使い勝手が悪く不便になる」「まともな説明がない」「中央図書館としてあり得ない」と声をあげています。(通信=狛江市・重国たけし)
署名は「こまえ図書館住民投票の会」が取り組んでいるもの。図書館への市民の関心は高く、チラシやホームページを見て署名集めを行う「受任者」に登録する人や、初めて市民運動に参加し駅頭の宣伝活動に立つ人も相次いでいます。署名は2月9日から始まり、3月9日までの1カ月間です。
計画は、図書館と公民館が入っている市民センター(1977年建設)の老朽化にともなう改修で、図書館を約400メートル離れた別々の施設に分割するというもの。市は、2022年度から23年度にかけて基本設計を行い、現在、実施設計をすすめており、24年度中に改修事業に入る予定を示しています。
理由はうるさい?
狛江市の図書館は狭く蔵書数も少ないため、その充実は多くの市民の願いでした。2016年には市民団体と市の協働で「市民センター増改築に関する市民提案書」がまとめられています。しかし、市は2020年8月に突如、これまでの議論になかった図書館の分割・移転計画を盛り込んだ「基本方針」を打ち出し、見直しを求める市民との話し合いに応じない態度をとりつづけています。
分割・移転の背景には、他の公共施設の再編による玉突き的な移動があり、より良い図書館を求める市民が納得できる理由は示されていません。市(市長)は議会答弁で、図書館分割の数少ない理由に、「子どもがうるさいと疎まれた」という声があったことをあげているものの、同じ建物や隣接する場所で、子ども用のスペースを分けるのが一般的対応です。
住民投票の会は「図書館は、大人も子どもも利用できるところ。親子で一緒に本を探したり、友だちと一緒に調べものをしたり。誰もが使える図書館は、本と人、人と人との出会いの場。市が作ろうとしている図書館で実現するでしょうか?」(ホームページより)と訴えています。
50分の1に迫る
住民投票の運動は、「『市の計画どおり分割・移転』か『分割せず現在地で拡充』か、市民の意見を聞く住民投票で、新図書館のあり方を決めよう」と提起されました。
街にはポスターが貼りだされ、ミニポスターを自転車のかごにつける人やチラシを置く飲食店も増えています。
駅前などでの署名行動では、「気になっていた。署名できる場所があってよかった」と署名していく人もいて、マンションや近所を軒並み訪問し、50人分、100人分と集めた人も出ています。
2月25日には交流集会が開かれ、議会の条例提案に必要な有権者の50分の1(約1400人分)の署名達成に迫っていることが報告されました。
住民投票の会では「分割計画そのものを知らなかったという人もいまだに少なくなく、多くの市民に関心を持ってもらい、市民の声で、もっと使いやすく、居心地の良い図書館にして、未来の世代に手渡したい」と取り組みを強めています。
東京民報2024年3月3日号より