「子どもの安全、脅かす」共同親権反対で院内集会〈2024年3月3日号〉

「STOP 共同親権」「家族法改正は命を危険にさらす」と訴える専門家ら=2月26日、千代田区

 子がいる夫婦が離婚後の親権を共同で行使する”共同親権″について、子どもやDV被害者などの命が脅かされると危惧する弁護士や専門家らで構成する実行委員会は2月26日、国会内で院内集会を行いました。

 離婚やDVなどの被害者救済の実務に精通した岡村晴美弁護士が「家族法改正に関する懸念について」と題して報告。「2022年の売春防止法改め困難女性支援法の成立、2023年のDV防止法の抜本的改正や性犯罪に関する刑法の改正など、困難や暴力にさらされる女性の支援法が整備される中で、安全を実感できているか」と投げかけ、共同親権問題はこうした枠組みの中で考えるべき問題だと強調しました。

 また岡村弁護士は共同親権について慎重論や懸念を公言する中で、人格権を否定するような誹謗中傷や、出演するメディア、弁護士会、事務所への苦情・嫌がらせ電話の横行の他、なりすましによるアルバイト応募が60件にもなり警察から安否を気遣われる事態をあげ、「発言を封じるもの」と告発。共同親権の導入で、離婚時の紛争の長期化や子の入園妨害などの福祉に反する状況が懸念されるなどと具体例を挙げ、要綱は問題点が山積しているとして「誰のための法改正なのか」と疑問を投げかけました。

 さらに全国青年司法書士協議会の荘原直輝会長が、「安全安心が保障され、子どもの利益を第一に考える運用の下、当事者が互いに人格権を尊重しあい社会全体で支えていく制度基盤と社会理解の定着」が制度導入の議論の前提だとして、「離婚後共同親権の導入に反対する声明」を発表。

 さらに、自治体職員が現場の対応と実態、懸念することを指摘。日本女医会の前田佳子会長も反対の立場から意見を述べました。

 家族法制改正についてのパブリックコメントに意見を寄せた個人の8割が反対を表明する中、同改正案要綱が自民党の部会で了承されたとの報道があるものの、次第に反対や懸念する声が多く上がっています。集会には木村草太・東京都立大教授、中野晃一・上智大教授、松尾潔氏(作家・音楽プロデューサー)など多数の著名人がメッセージを寄せており、このうち上野千鶴子・東京大名誉教授は「『子どものため』といいながら、共同親権派の背後には、家父長的な父権復活派がいるような気がしてならない」と指摘しています。

 会場には立憲民主党の福山哲郎、社民党の福島瑞穂両参院議員ら野党の国会議員が参加。日本共産党からは本村伸子衆院議員、吉良よし子参院議員秘書ら複数が駆けつけ連帯のあいさつで参加者を激励しました。

東京民報2024年3月3日号より

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