医療・介護の処遇改善して 東京医労連がストライキ〈2024年3月24日号〉

 東京の病院・診療所、介護施設などで働く医療・介護労働者でつくる東京地方医療労働組合連合会(東京医労連)は14日、前日の春闘要求に対する経営側からの不誠実な回答を受け、4支部で全面ストライキを断行し、指名ストライキを含めて約800人(18日時点の集計)が参加しました。

JR千駄ヶ谷駅前でプレートを掲げてアピールする医療・介護従事者たち=14日、渋谷区

 医療や介護、福祉の現場は、賃金水準の低さから慢性的な人手不足が続き、過酷な労働環境に置かれています。さらに異常な物価高騰が追い打ちをかけ、生活実態は悪化。東京医労連はこれらの状況を踏まえ、平均4万円以上の大幅な賃上げや、人員の確保などを強く要求しています。

 東京医労連の構成組織、東京民医連労働組合(東京民医労)東京勤労者医療会支部(勤医会支部)に属する代々木病院(渋谷区)では、看護師など約60人が始業時から1時間の全面ストライキを決行。病院前での集会後、JR千駄ヶ谷駅前で宣伝行動とともに、「安全・安心の医療・介護実現のため人員増と処遇改善を求める」国会宛ての請願署名活動も実施しました。

 集会で、東京民医労勤医会支部代々木分会の吉川彰人執行委員長が、理事会からの回答を説明。厚生労働省が公表した2024年度の診療報酬改定では、24年度に2.5%、25年度に2.0%相当のベースアップ評価料が組み込まれたものの、理事会はベースアップについて「診療報酬改定の疑義解釈など詳細が不明のため、現状では回答できない」と返答(薬局はベアなし)。一時金に関しては、10年来守られてきた年間予算3.0カ月を下回る、2.7カ月(薬局は2.0カ月)に引き下げられ、吉川氏は「過去最低の回答」と憤りました。

 日本医療労働組合連合会(日本医労連)の佐々木悦子中央執行委員長は、加盟組織の回答状況を報告。「回答数81のうち、ベア回答は32。賃金の平均を見ると、ベースアップは3567円で引き上げ率1.47%、手当て込みの総額は5458円で引き上げ率2.02%。診療報酬改定の2.5%に追いついていない」と指摘。他産業では満額回答が相次いでおり、「ますます賃金格差が広がるばかり」と強調しました。

 全国労働組合総連合(全労連)の小畑雅子議長が、連帯のあいさつ。「皆さんの切実な訴えに対し、経営側がゼロ回答に終始したのは許せない」として、ともに闘う決意を述べました。

 同日午後から、新宿駅周辺をデモ行進する統一行動を実施し、27組織、約100人が参加。東京医労連オリジナルの「サイチン音頭」を流し、「医療・介護の大幅賃上げを行え」などと声を上げ、通行人にアピールしました。

 東京医労連は再要求書を提出し、交渉を継続する構えです。

東京民報2024年3月24日号より

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