光は都庁でなく暮らしに 映像投影事業に2年48億円〈2024年3月24日号〉
- 2024/3/26
- 都政・都議会
都が2月から新たな観光資源にするとして都庁舎の壁面に映像を映すプロジェクションマッピング(PM)を始めました。映像は当面、毎日午後7時から5回投影され、1回10分から約15分。都によると建物に常設で映し出すものでは世界最大といいます。一方、この事業に投入されるのは7億円もの税金(23年度予算)です。
都は都庁舎以外にも、都内各所で行う計画です。
池川都議はPMに2年度合計で約48億円もの巨額の税金をつぎ込むことを明らかにし、五輪談合事件で指名停止中の電通と博報堂の関連企業に委託している問題を追及しました。都は同事業に23年度予算で22.9億円、24年度予算案で25.6億円を計上しています。
池川都議は、電通と博報堂の幹部も理事に加わる東京観光財団が都庁舎PM実行委員会をつくり、電通グループの電通ライブに都庁舎PMを委託していることを告発。その上で、「電通は五輪談合で今年8月まで指名停止中だ。抜け道を使ったと言われても仕方ない」と批判しました。
池川都議はまた、実行委が行った4事業中、電通ライブが3カ所、電通グループの電通PRコンサルティングが1カ所で事業者になっていると指摘。さらに昨年9月と11月に行われたPMイベントでも、制作・運営を博報堂グループの博報堂プロダクツが担った事実を挙げ、「こちらも抜け道を使って、博報堂の関連企業に都の税金が使われている。こういうのを利益相反というのではないか」と追及しました。
坂本雅彦産業労働局長は、都庁舎PMの事業委託入札で参加したのが電通ライブと博報堂プロダクツの2社だけだったと認めました。
池川都議は「入札の経過がわかる資料は、都民や議会には明らかにされていない」とし、入札に関する資料要求にも「出せない」と拒否していることに、「なぜ出せないのか」と追及。坂本産業労働局長は「実行委員会は都とは別の主体で、都が実行委員会に関する資料を公表することはできない」と答弁。
池川都議は実行委が都と産業労働局長が副理事長をしている東京観光財団、新宿区の3人で構成し、事務局は都産業労働局観光部振興課で電話番号も同課になっていると指摘。「巨額の税金を使いながら、都民や議会に資料も出さないことに都民は納得しない」「PMで照らす都庁の足元では、毎週の食料支援に700人が並んでいる。光を当てる所が違う」と述べ、税金の無駄遣いを中止し、都民の暮らしにこそ光を当てるよう迫りました。
小池知事 献金禁止言えず
池川都議はPM事業で電通の関連企業が受注していた問題に先立ち、小池知事が自民党衆院議員時代の13年に電通から20万円、14年にも20万円の献金を受け取っていた事実を示し、自民党の裏金問題の根本問題でもある企業献金について、「全面禁止にすべき立ち場か」とただしました。
小池知事は電通の献金の事実を認めた上で、「法に基づいて適正に対応すべきこと」と述べ、企業献金への見解には言及しませんでした。
東京民報2024年3月24日号より