羽田の訴訟・事故を考える 港区の市民団体が懇談会〈2024年3月31日号〉

「みなとの空をまもる会」の懇談会=23日、港区

 「みなとの空を守る会」は23日、港区内で「『羽田訴訟・航空機と環境・羽田の事故』を考える」懇談会を開きました。3人の話題提供者のほか、立憲民主党や日本共産党の地方議員など約50人が参加しました。

 話題提供者の「羽田問題訴訟」の会の須永知男氏(渋谷の空を守る会共同代表)は、「羽田訴訟のいま」と題して訴訟の現状と見通しを説明しました。

 それによると提訴したのは、2020年の6月。都心縦断着陸ルートと川崎臨海コンビナート上空離陸ルートを設定した行政処分の取り消しを求めています。これまで東京地裁の公開法廷は5回開かれ、次回は5月21日、大法廷で開かれると述べ、協力を求めました。

 この日の、口頭弁論で訴訟が「新たなフェーズで争えるか、打ち切られるか」の最終弁論になるので、「是非とも注目を」と呼びかけました。

 二人目の杉原理恵氏(渋谷区在住)の演題は「羽田新ルートよりも合理的な選択肢、あります〜少子高齢化&気候危機時代の持続可能な交通政策」。「飛び恥」と言われる航空機CO2排出量の問題と対策を詳述しました。航空機の短距離便を廃止し、鉄道に切り替える必要や、9割が赤字の地方空港に国際線を配置するなどの総合的な交通政策が必要とし、「羽田新ルートは必要ない」と強調しました。

 元JAL機長で、JAL被解雇者労働組合書記長の山崎秀樹氏は、「1月2日の羽田空港の事故から」と題して、事故は複合要因の連鎖から起こった典型的な事故だと指摘し、再発防止に向けて労働組合の役割も強調しました。事故の背景にある滑走路への誤進入は日常的に起きていて、昨年1730件もあり、そのうち30%はゴーアラウンドで防がれており、パイロットの見張りの重要性や、管制官とパイロット間の誤認などに言及。とくに管制官の定員数の減少に対して取り扱う機数が増大している問題の危険性を指摘。質問にも答え、声をあげる「労働組合なしに安全もない」と強調しました。

東京民報2024年3月31日号より

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