住宅地の真下、40メートル以深の大深度地下に、JR東海が進めるリニア中央新幹線(品川‐名古屋)のトンネルを掘る大深度地下利用法(大深度法)は、法の支配の原理を逸脱するものであり、違憲であるとして、トンネル掘削が計画されている大田区、世田谷区、町田市の住民45人が3月27日、JR東海が申請した大深度地下使用の認可取り消しを、国に対して求める行政訴訟を東京地裁に提訴しました。
大深度法は、一定の地下深い部分について、所有権者の同意を必要とせず、使用料や補償費用も支払うことなく、自由にトンネルを掘ることができる法律。40メートル以深であれば、地上に影響がないことを前提としていましたが、20年10月に調布市の住宅街で起きた陥没事故のように、各地で多数の事故やトラブルが発生しています。
原告側は、財産権(憲法29条)にとどまらず、人格権の一種として平穏な生活を営む権利「平穏生活権」が侵害されると主張。リニア中央新幹線を整備する公益上の必要性についても、正面から争う構えです。
さらに大深度法第十六条(使用認可の要件)四に記されている「事業者が当該事業を遂行する十分な意思と能力を有する者であること」を引き、リニアトンネル工事は遅々として進まず、予算も莫大に膨らんでいるとして、国に立証を求めていく方針です。
記者会見で原告団長・リニア大深度地下使用認可取り消し訴訟を支える会共同代表の三木一彦氏は、「今、外環道で起きていることは、まさに平穏生活権の侵害。我々は大深度法という違法な許可がまかり通るのを黙って見ているわけにはいかない」と、裁判への意気込みを述べました。
東京民報2024年4月7日号より