「共同親権絶対廃案」と、約700人の声が国会前にこだまし、道行く人の足を止めました。DVや虐待の被害者らを支援する法律家や専門家、支援団体らが3月29日、衆議院で現在審議されている、子のある夫婦の離婚後の“共同親権”について、反対の意思を表すデモ集会を国会前で行いました。併せてX(旧ツイッター)デモも実施され、同法案を廃案へとの大きなうねりが広がりました。集会には手製のプラカードを手にしたDV被害者も勇気を振り絞って多数参加。野党の国会議員や地方議員が駆けつけました。

参加者によるリレートークが行われ、離婚後に子どもと別居しているという男性がマイクを握りました。男性は「10歳の子どもに養育費をきちんと払っている」と切り出し、「共同親権は必要ない。現状の単独親権でも、自分は子どもに『会いたい』と言われた時に会っている。共同親権の導入に賛成の人から子どもの意見を尊重する声が聞こえない」と告発。「(柴山昌彦元文科相の言う)耐えられるDVなんてないし、議論が全く足りていない。同姓婚や夫婦別姓の方を先に実現すべきでは」と批判しました。
熊上崇・和光大学教授は「いま議論されている共同親権は、ともに子育てするものではなく、子どもに対する決定事項に別居親の許可を求めるようになる制度で、子どもを苦しめかねない法案だ」と指摘。「法務省は国民にパブリックコメント(意見徴収)をしたが、全面公開をしない。8000通余りが集まり、その三分の二が単独親権に賛成している。廃案こそ、国民の声だ。政府は国民の声を聞け。(共同親権の名による)子どもへの鎖は断ち切らなくてはいけない」と語気を強めました。
トークでは弁護士や専門家、当事者の「(居所が知られる。急襲や面会交流時の犯罪行為などで)子どもやDV被害者などの命が脅かされる」と危惧する声が絶えませんでした。
日本共産党のもとむら伸子衆院議員もマイクを手に「人の命がかかっている法案の審議を拙速にやってはならない。子どもの意見表明権もなく、利益が守られない。丁寧に議論を尽くすべきだ。最後までみなさんの思いを背に頑張る」と決意を述べました。
子がいる夫婦が離婚後の親権を共同で行使する“共同親権”を含む家族法の改正は、「導入」を訴える団体が加わる法務相の諮問機関が答申。政府が本年3月8日に「導入」との閣議決定をして、猛スピードで審議が進められています。「国際女性デーに、このような閣議決定をするなんてジェンダー平等の意識が希薄だ」との声が上がっています。
東京民報2024年4月7日号より