東京都が五輪選手村整備の名目で、中央区晴海の都有地(13.4ヘクタール)を9割引きで大手不動産11社と売却契約を結んだことは違法だとして、都民29人が都を相手取って小池百合子知事や舛添要一前知事らに1209億円の損害賠償請求を求める訴訟で、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は3月27日、住民側の上告を棄却し、上告審として受理しないと決定しました。
中野幸則さんや不動産鑑定士ら都民は2017年、都心の一等地を1平方メートルあたり約9万6700円の破格値で売却すれば都財政に大損害を与えるとして、東京地裁に提訴。地裁は21年判決で都の投げ売りを追認し、東京高裁も23年の控訴審判決で巨額の都の損害を容認、原告の請求を退けました。
原告は不当判決に抗議して最高裁に上告。上告理由書で、都が不動産鑑定書を作成せず、財産価格審議会や都議会にも諮らずに都有地を安売りした行為は憲法・地方自治法・都市再開発法違反だと強調していました。(ジャーナリスト・岡部裕三)
東京民報2024年4月7日号より