都議会閉会「経済界ファースト」から 都民に寄り添う都政へ〈2024年4月7日号〉

予算案7会派42人が反対 小池都政の8年で最多に

 都議会第1回定例会は3月28日、最終本会議を開き、過去最大となる8兆4530億円の一般会計当初予算案を自民党、都民ファーストの会、公明党の賛成多数で可決し、閉会しました。小池百合子知事の2期目最後となる予算案は可決されたものの、3分の1を超える7会派42人が反対し、あと18人で賛否が逆転するという小池都政8年間で反対が最多となりました。

 一般会計予算案に反対したのは、日本共産党19人、立憲民主党15人、ミライ会議4人と、生活者ネット、グリーンな東京、自由を守る会、東京維新の会各1人の計42人。

一般会計予算案の採決で起立せず反対したのは7会派42人に上りました=3月28日、都議会

 採決に先立つ討論で、日本共産党の清水とし子都議は、「都民の声を聴かない、都民の暮らしに無関心、そして『経済界ファースト』という小池都政の姿が浮き彫りになった」と強調。「特徴は新年度予算案に表れている」として、わずかな年金で暮らす高齢者の暮らしを支える経済的支援も、高すぎる国民健康保険料の軽減策もなく、都営住宅の新規建設は25年間連続ゼロ、障害者福祉手当やひとり親家庭の児童育成手当は28年間で1円も上がっていないと指摘しました。

 一方、防災を口実に住民や商店街に追い出しを迫る特定整備路線事業には100倍の497億円を計上し、用地買収を強力に進める「機動取得推進課」を63人体制で立ち上げ、中小・小規模企業には冷たいのにスタートアップ(新興企業)支援には516億円を計上すると告発しました。

 さらに、経済界の要求に応える大型開発に巨額の税金を投入し、都庁舎に映像を投影するプロジェクションマッピングには今年度と来年度を合わせて48.5億円もの巨費を計上し、「無駄遣い」との批判を招いていると述べました。

 また、学校給食の無償化や補聴器購入費補助で多摩格差が生まれていることをあげ、「多摩格差ゼロ」を公約に掲げて知事になったのに「もはや見る影もない」と批判。「都が全額補助を行うことしか解決の道はない」と主張しました。

 清水都議は「きょうは坂本龍一さんの命日」だと紹介。外苑再開発で坂本龍一さんが最期に小池知事に宛てた手紙で「目の前の経済的利益のために、先人が100年をかけて守り育ててきた貴重な神宮の樹々を犠牲にすべきではない」と諭したことを重く受け止め、再開発中止を事業者に要請すべきだと訴えました。

 その上で「都民に冷たく『経済界ファースト』の小池都政を続けるわけにいかない。都民の声を聴き、都民に寄り添う知事を誕生させるために全力を尽くす」と表明しました。

樹木保全の請願 自・公・都が反対

 本会議では、神宮外苑再開発で146本のイチョウ並木など歴史的な樹木の確実な保全を求める請願、東京五輪・パラリンピックを巡る談合・汚職事件の検証を求める請願は7会派が採択に賛成しましたが、自民、公明、都ファの3会派が反対したために不採択となりました。

 また、日本共産党が提出した都立看護学校の授業料無償化条例は、共産党のほか3会派が賛成しましたが、反対多数で否決されました。

東京民報2024年4月7日号より

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