1989年は世界史の転換点となるような出来事が相次いだ年として知られます。6月に中国で天安門事件が発生。さらに11月に東西ドイツを隔てたベルリンの壁が崩壊しました▼そんな1989年の4月1日に日本で導入されたのが、消費税です。35年を経て、税率は3%、5%、8%、10%とアップ。いまや所得税や法人税を超えて、国の最大の税目となっています▼35年間の消費税の税収は、累計で539兆円にのぼるといいます。ほぼ同じ期間に法人税の減収は318兆円、所得税・住民税の減収は295兆円で、合計613兆円。「社会保障のため」と言って、増税されてきた消費税の税収は、これらの減収の穴埋めに丸々使われたことになります▼大企業の税負担を減らすために消費税が増税されてきた一方で、日本経済は停滞し続けてきました。いまや、労働者の実質賃金はピークの1996年から74万円も減り、個人消費が伸びないなかで、GDP(国内総生産)はドイツに抜かれて4位です▼昨年9月に「コストカット型経済」の転換を華々しく打ち出した岸田首相ですが、実現には程遠い状況です。大企業による税負担の「コストカット」の最たるものである消費税増税路線の転換は、経済再生のための急務です。
東京民報2024年4月7日号より