私生活言及は人権の侵害 東京外環 盗撮問題で山添氏質疑〈2024年4月14日号〉
- 2024/4/13
- 外環道
東京外かく環状道路工事に伴う調布市東つつじヶ丘周辺の相次ぐ地表陥没事故付近の地盤改良工事をめぐり、施工を行う鹿島建設JV(共同企業体)が住民の行動を監視・盗撮した上に蔑称を用いてインターネット上のチャット(文字会話)で情報共有をしていた問題を3月26日、日本共産党の山添拓参院議員が参院予算委員会でただしました。
NEXCO東日本の代表取締役兼専務執行役員の髙橋知道氏が招致され、「迷惑をおかけした」としてわび、山添議員の質疑に応えました。高橋氏は「情報共有をしたのは60人」と回答。「不適切」とホームページに公表した内容については「あだ名を用いるなど礼節を欠いた」ことを指すとして、家屋をのぞいた行為は「意図的ではない」と弁解し、周辺住民を訪問して謝罪していると答えました。
山添氏は私生活に言及していることについて「プライバシーの侵害で監視していることになる」と指摘。髙橋氏は「安全確保のためであり、監視・盗撮が目的ではない」と言い逃れに終始しました。
秘匿性高く問題 藤原朋弘弁護士の話
プライバシーの侵害とは憲法13条に基づき「私生活をみだりに公開されないという法的保障ないし権利の侵害」と考えられています。①私生活上の事実または事実らしく受け取られるおそれのある事柄であること(私事性)②一般人の感性を基準にし、当該私人の立場において公表を欲しないであろうと認められる事柄であること(秘匿性)③一般にまだ公開されていない事柄を内容としたものが公開されたこと(非公知性)―が必要です。あるいは、右記の基準とは異なり、私生活上の平穏を害するかどうかを問題とする裁判例も存在します。肖像権の侵害と異なり、受忍限度を超えるかは関係がありません。
例えば「●●さん二階から(工事現場を)覗いています」というような表現は、秘匿性の高い部屋の中の行為を公道から覗いており、プライバシー権の侵害となりうる可能性が高いと思われます。
東京民報2024年4月14日号より