
神宮球場と秩父宮ラグビー場を取り壊し、敷地を入れ替えて建て直す計画に、スポーツ関係者や愛好家などから批判を招いている神宮外苑再開発で、建築や街づくりの専門家らでつくる新建築家技術者集団東京支部は10日、「秩父宮ラグビー場と神宮球場の現在地での再生提案」の発表会を豊島区で開きました。一級建築士の柳澤泰博、小林良雄両氏が報告しました。
4事業者の一者、独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)は、秩父宮ラグビー場の建て替えの必要性について、施設の老朽化をあげ、改修・増築ではバリアフリー化や多様化するニーズへの対応は実現不可能と主張。神宮球場側もバリアフリーが困難などとしています。
再生案は老朽化との主張に対し、「メインスタンドの建築は1976年9月完成で築47年であり、適切な改修は十分に可能」と指摘。2010年に日建建設が行った耐震診断の評価報告書を示し、「老朽化には当たらず、適切な部分的耐震補強を施せば、これからも十分に使用できる耐震化が可能」としています。
その上で「現施設の構成形態、敷地状況などから、スペースはあり、既存メインスタンドの構成が単純明快であることから、増築やバックヤードの充実、設備施設の更新、バリアフリー化など、十分に対応が可能」「ユニバーサルデザインをいき渡らせることも可能」と強調しています。
また、神宮球場についてもエレベーターの設置でバリアフリー化は可能で、スタンドの客席増や狭さの解消は増設増築で解消でき、その他の課題も解決する方策はあるとして、具体的に提案しています。
外苑再開発は多数の樹木を伐採・移植し、超高層ビル2棟などを建設する計画。新球場建設を巡っては、神宮外苑のシンボル、イチョウ並木が枯れる可能性を専門家から指摘され、事業者が提出した環境影響調査報告書の虚偽・間違いも告発されています。
東京民報2024年4月21日号より