府中市 多摩地域初の「9条の碑」平和の心をかたちに〈2024年5月19日号〉

多くの市民が見守るなか行われた除幕式= 7 日、府中市

 世界で武力紛争が相次ぎ、憲法改悪の動きが緊迫する中、全国で37カ所目、都内2カ所目となる「9条の碑」が府中市に完成し、7日に除幕式が行われました。市民団体「三多摩発の『9条の碑』を府中につくる会」が寄付を呼びかけ、約2年で完成にこぎつけました。

 碑には憲法9条の条文が刻まれています。設置された場所は、農家の林静枝さんが寄贈した敷地(同市南町6丁目)で、小公園「9条プチパーク fuchu」に整備。碑とともにアヒルを抱く女性のブロンズ像(作成=彫刻家・久保制一氏)を建立しました。

 除幕式後の「完成のつどい」で、久保さんは「『憲法9条の平和の心を形に』をコンセプトに、アートと9条が身近に感じられることを目指した」と紹介。「平和はどこからか届けてもらえるものではなく、私たち自らかちとっていくもの。平和な世界に向けてアヒルのように一歩一歩歩いていく思いを込めた」と述べました。

 つどいには、約250人が参加。ピアニストでもある共同代表の斉藤寿美代さんがあいさつ。完成までの経過にふれ、「けやき平和コンサート」など反核平和運動を続ける中で、学習会に招いたジャーナリストの伊藤千尋さんの講演をきっかけに、9条の碑を府中にもつくりたいという機運が高まったと振り返りました。同じく共同代表の姫田光義中央大学名誉教授は「私たちは永遠に9条の碑を守る。世界と日本の平和を断固守るために、みなさんと共に頑張ります」と表明しました。

 伊藤氏が講演。ロシアによるウクライナ侵略やイスラエルによるパレスチナへの武力攻撃が続く中、憎悪の連鎖を断ち切ることができるのは武力ではなく憲法9条だと指摘。日本全国に「9条の碑」が広がっているとし、「世界に9条を広めることこそ、平和国家である日本がやるべきこと。政府がやらないなら国民自身がやろうというのが『9条の碑』をつくる運動の意義だ」と強調しました。

 高野律雄府中市長が来場し、祝辞をのべました。オーストリア・ウイーン市ヘルナルス区との友好都市協定30周年記念で、自ら書いた「平和」の記念碑が同区の公園に建立されたことに触れ、「平和の意味を知り、対話することが大事だ」と語りました。

 碑の実現に向けて、個人や団体に寄付を呼びかけ、約1000万円が集まり、碑の裏側に330人の賛同者の氏名と52団体名が刻まれています。また、4000部のニュースレターを5回にわたり発行してきました。

東京民報2024年5月19日号より

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